アルタミラ洞窟とは？意味をやさしく解説

アルタミラ洞窟：先史時代の芸術が息づく場所

スペイン北部カンタブリア州に位置するアルタミラ洞窟は、旧石器時代の壁画が残る場所として、世界的に知られています。この洞窟は、サンタンデルから西へ約30kmのサンティリャーナ・デル・マル近郊にあり、全長約270mの洞窟内には、先史時代の芸術作品が数多く残されています。

アルタミラ洞窟 壁画：旧石器時代の息吹

アルタミラ洞窟の壁画は、主にマドレーヌ期（約18,000年～10,000年前）と呼ばれる旧石器時代末期に描かれたもので、野牛、イノシシ、馬、トナカイなどの動物が中心です。これらの壁画は、ソリュトレ期（約18,500年前頃）とマドレーヌ期前期（約16,500年前～14,000年前頃）に描かれたものが混在しています。約13,000年前の落石によって洞窟の入り口が閉ざされたことで、壁画は外気から遮断され、理想的な状態で保存されました。

壁画の発見と評価

1879年、この地の領主であり、アマチュア考古学者でもあったマルセリーノ・サンス・デ・サウトゥオラ侯爵の5歳の娘マリアが、偶然これらの壁画を発見しました。侯爵は壁画が旧石器時代のものであると確信し、1880年に発表しましたが、当時は旧石器時代の絵画が知られていなかったため、学界からは捏造だと疑われました。

しかし、20世紀に入ると科学的な調査が進み、他の地域でも洞窟壁画が発見されるにつれて、アルタミラ洞窟の壁画は旧石器時代のものであると認められるようになりました。侯爵の死後、彼の論文を否定したトゥルーズ大学のカルテラック教授も自説を翻し、侯爵の業績を認めました。侯爵の先見の明と、科学的な検証により、アルタミラ洞窟の壁画は人類史における重要な発見として評価されるようになりました。

現在の状況とレプリカ

アルタミラ洞窟の壁画は、外気に触れることで劣化が進んでいるため、現在は一般公開されていません。しかし、その素晴らしい壁画を後世に伝えるため、以下の場所にレプリカが展示されています。

- アルタミラ国立博物館研究センター
- 国立考古学博物館（スペイン、マドリード）
- ハビエル城博物館（三重県志摩市の志摩スペイン村内）

世界遺産登録

アルタミラ洞窟は、1985年に「アルタミラ洞窟」として単独でユネスコの世界遺産に登録されました。その後、2008年には、スペイン北部の他の17箇所の洞窟とともに、「アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術」として拡大登録されました。これにより、旧石器時代の洞窟壁画の重要性が世界的に認められました。

登録基準

この世界遺産は、以下の世界遺産登録基準を満たしています。

(1) 人類の創造的才能を表現する傑作であること。
(3) 現存する、または消滅した文化的伝統や文明の唯一または稀な証拠であること。

アルタミラ洞窟：過去からのメッセージ

アルタミラ洞窟は、旧石器時代の人々が残したメッセージが詰まった場所です。洞窟壁画は、当時の人々の生活、文化、そして芸術的な感性を今に伝えています。アルタミラ洞窟を訪れることは、人類の歴史を深く理解するための貴重な体験となるでしょう。

アルタミラ洞窟