アルダビール州

アルダビール州の概要

アルダビール州（ペルシア語: استان اردبیل‎, ラテン文字転写: Ostān-e Ardabīl）は、イランの北西部アーザルバーイジャーン地域に位置する州です。州都はアルダビールで、面積は18,011平方キロメートルにわたります。1993年に東アーザルバーイジャーン州から分離して設立されました。

名称について

この地域は一般的に「アルデビル」と呼ばれていますが、これは英語の発音に基づく誤った表記です。歴史的には「アルタヴィル」として知られています。

気候と地理

アルダビール州はアゼルバイジャン共和国や、東アーザルバーイジャーン州、ザンジャーン州、ギーラーン州と接しています。この地域の夏季は最高気温35度に達することもありますが、多くの観光客が避暑を求めて訪れるため、冷涼な気候が好まれています。一方、冬期には最低気温が－25度まで低下することもあります。

サヴァラーン山脈に囲まれたこの州は、自然の美しさが豊かで、イラン国内でも最も寒冷な地域とされています。大部分が緑に覆われたこの州は、アゼリー系民族が多く居住しており、著名なアスリートとしてはサッカー選手のアリー・ダーエイーが挙げられます。州都のアルダビール市はカスピ海から約70キロの位置にあり、アゼルバイジャンとの国境に近いことから、政治・経済的にも重要な役割を果たしています。

歴史的背景

アルダビールの歴史はアゼルバイジャンの歴史と密接に関連しています。ハカーマニシュ朝時代にまで遡り、アヴェスタにも登場します。ザラスシュトラがアラス川流域で生まれ、サヴァラーン山中で著作を成立させたことが記されています。イスラムの征服後、アルダビールはアーザルバーイジャーン地方の主要都市となり、その地位はイルハン朝期まで継承されました。

この地はサファヴィー朝の創始者、シャー・イスマーイール1世がイラン統一軍を結成した場所であり、1500年にタブリーズへの遷都が行われるまでサファヴィー朝の首都でした。遷都以降もアルダビールは政治的・経済的に重要な地域としての地位を保っています。

文化と観光名所

アルダビール州は数多くの温泉と美しい自然景観に恵まれており、特に温泉はビーレ・ダッレ、サルイェン、サルダーベ、ブーシュルーなどが有名で、その健康効果は全国に知られています。また、自然景観として多くの湖が存在し、その中でもネオル湖、シューラービル湖、シュールゲル湖、ノウシャフル湖、アルーチェ湖が特に目立ちます。これらの湖は水鳥の生息地でもあり、多くの観光客を引き付けています。

特にネオル湖は美しい風景を誇り、面積は2.1平方キロメートル、平均水深は3メートルです。水面には湖底からの湧水があり賑わいを見せます。シューラービル湖もまた特徴的で、640,000平方メートルの面積を持ち、皮膚病とリウマチに効能があるとされています。湖畔にはリゾート施設も整備されています。

アルダビール市自体は非常に古い都市で、起源は4,000年から6,000年前に及ぶとされています。アゼルバイジャン地域の中心地としての役割を果たし、特にサファヴィー朝期がその黄金時代とされています。この都市にはシャイフ・サフィー・アッ＝ディーンの墓廟などの重要な文化財があり、アルダビールの魅力を高めています。加えて、北2キロにはシャイフ・ジブラーイール廟や活気あるバーザール、金曜モスクなどがあります。

高等教育機関

アルダビール州には以下の高等教育機関があります。

• - アルダビール医科大学
• - モハッゲグ・アルダビール大学
• - イスラーム自由大学アルダビール
• - イスラーム自由大学ハルハール

これらの教育機関は地域の発展に寄与しており、アルダビール州の知識基盤を支えています。

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