アーザルバーイジャーン

アーザルバーイジャーンの概要

アーザルバーイジャーン（ペルシア語: آذربایجان‎）は、イラン北西部に位置し、アゼルバイジャンやトルコなどの国境地域に隣接しています。この地域は「イラニアン・アゼルバイジャン」「イラン領アゼルバイジャン」などとも呼ばれます。「アーザルバーイジャーン」という名称はペルシャ語に由来し、通常イラン国内ではこの名称が用いられ、隣国のアゼルバイジャン共和国は「アーザルバーイジャーン共和国」と称されます。

歴史的背景

アーザルバーイジャーンは、初めてイラン系の住民が農耕や牧畜を行っていた地域でした。しかし、イスラム帝国による征服を受け、11世紀から15世紀にかけてトルコ系民族の影響を受けて多くの人々がトルコ化しました。とはいえ、イランの文化や言語の影響も色濃く残っています。

1747年から1813年には、タリシュ・ハン国がこの地域に存在しましたが、1813年にゴレスターン条約が締結されたことで、カージャール朝が敗北し、アラス川以北の地域はロシアに割譲されました。その後、1828年のトルコマーンチャーイ条約によって、再びペルシャ領に戻りました。

政治的な動きとしては、1945年12月にソビエト連邦の支援を受けてアゼルバイジャン国民政府が設立されました。その後1979年のイラン革命でソ連の影響が増えた結果、アゼルバイジャン人の民族主義が高まり、自治要求も活発化しました。1993年にはタリシュ・ムギャーン自治共和国が短期間独立を宣言しました。

住民構成

アゼリ人

アゼリ人はイラン最大の少数民族で、アゼルバイジャンの主要民族でもあります。彼らはトルコ系のアゼリ語を話しますが、主にイスラム教シーア派として、イランの多数派であるペルシャ人との間に宗教的対立はありません。一部のアゼリはイランからの独立とアゼルバイジャンとの統合を主張し、イラン政府はこれを汎トルコ主義として問題視しています。

タリシュ人

タリシュ人も地域の民族問題に関与し、1993年の自治共和国の独立を主導しました。彼らは主にアーザルバーイジャーン南部に住んでいます。

クルド人

地域西部にはクルド人が住んでおり、彼らの居住地はクルディスタンと重なる部分もあります。

その他の民族

歴史的には古代アルメニア地域に含まれていたため、アルメニア人の修道院などの建造物も存在しますが、現在住んでいるアルメニア人は少数派です。

行政区分

アーザルバーイジャーンは、以下の4つの州に分けられています。
1. 西アーザルバーイジャーン州
2. 東アーザルバーイジャーン州
3. アルダビール州
4. ザンジャーン州

このように、アーザルバーイジャーンは多様な民族と複雑な歴史を抱える地域であり、現在もそれぞれの民族の要求や文化が影響し合っています。

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