アルト・パラグアイ県

アルト・パラグアイ県：自然と開発の交錯

アルト・パラグアイ県は、パラグアイの広大な北部地域に位置する県であり、その面積は約82,349平方キロメートルに及びます。人口は比較的少なく、2002年の時点で約15,008人が暮らしており、県都はフエルテ・オリンポ市です。1992年にチャコ県と合併し、かつて存在したオリンポ県の形に戻りました。

豊かな自然と国立公園

この県には、手つかずの自然が数多く残されており、多様な生態系を育んでいます。特に注目されるのは、いくつかの国立公園の存在です。デフェンソレス・デル・チャコ国立公園は、パラグアイ北部で最も標高の高いセーロ・レオンの丘に位置し、国内最大の規模を誇ります。乾燥した大地には、さまざまな種類のサボテンが生息しており、独特の景観を作り出しています。また、リオ・ネグロ国立公園は、いくつかの小さな湖から成り立っており、県内に生息する多様な動物たちの姿を観察することができます。その他にも、コロネル・カブレラ国立公園やチョボレカ国立公園など、乾燥地帯に位置する公園が点在しています。

農業・畜産と森林破壊

県内には広大な原生林が広がっており、その手付かずの状態が保たれています。しかし、近年では、肥沃な土地を求めて農業や畜産のための開拓が進んでいます。地価が国内で最も低いことも、開発を加速させる要因となっています。年間の降水量は地域によって異なり、東部では約1200mmと比較的多いものの、中部では約900mm、西部では約700mmと少なくなります。開拓農家にとっての課題は、道路やインフラ網が十分に整備されていないことです。

また、開拓に伴う森林伐採は深刻な問題となっています。1990年から2010年にかけて、パラグアイの森林面積は世界でも高い減少率を示しました。イギリスの環境保護団体ワールド・ランド・トラストの推計によると、2008年だけでも旧チャコ県で少なくとも20万ヘクタールの森林が伐採されました。森林伐採は、生態系の破壊や生物多様性の減少につながるだけでなく、気候変動にも影響を与える可能性があります。

県内では放牧が主要な産業であり、広大な原野を利用した集約的な方法と、東部の草原で行われている伝統的な方法の両方が盛んです。近年では、トウモロコシ、サトウキビ、ナンヨウアブラギリなどの栽培も急速に拡大しています。特にナンヨウアブラギリは、乾燥した西部地域での栽培が計画されており、新たな産業としての可能性を秘めています。

隣接する県と地区

アルト・パラグアイ県は、サンタクルス県、マットグロッソ・ド・スル州、コンセプシオン県、プレシデンテ・アイェス県、ボケローン県と隣接しています。県内は、フエルテ・オリンポ地区とラ・ビクトリア（プエルト・カサド）地区の二つの地区に分かれています。主要な都市としては、フエルテ・オリンポ、バイア・ネグラ、プエルト・カサドなどが挙げられます。

アルト・パラグアイ県は、豊かな自然と開発の狭間で揺れ動いています。持続可能な開発を実現するためには、環境保護と経済発展の両立が不可欠です。今後の動向が注目されます。

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