アルバニア民主党

アルバニア民主党：歴史、現状、そして課題

アルバニア民主党（Partia Demokratike e Shqipërisë）は、アルバニアにおける二大政党の一つであり、保守主義を掲げています。1990年の東欧革命の波に乗り、アルバニアでも民主化を求める声が高まる中で誕生しました。

結党と初期の活動

当時のアルバニアは、アルバニア労働党（共産党）による一党独裁体制が続いており、民主党は地下組織として活動を開始せざるを得ませんでした。しかし、翌1991年に複数政党制が導入されると、民主党は合法政党として認められ、公然と活動できるようになったのです。この過程で、サリ・ベリシャが党内で強い影響力を持つようになりました。

1991年に行われた初の自由選挙では、民主党は社会党に敗れ、政権獲得はなりませんでした。しかし、首都チラナなどでは善戦し、支持を広げていきました。

ベリシャ政権の成立と崩壊

1992年の議会選挙で民主党は勝利し、ベリシャが大統領に就任しました。ベリシャ政権は、市場経済化を急速に進めましたが、その過程で国民にねずみ講を勧める政策が問題視されるようになります。1997年にねずみ講が破綻すると、国内は混乱に陥り（1997年アルバニア暴動）、事態を収拾できなかったベリシャは大統領を辞任。民主党は政権を社会党に明け渡すことになりました。

その直後に行われた議会選挙でも、民主党は国民の信頼を失い、大敗を喫しました。2001年の議会選挙でも社会党に及ばず、低迷が続きました。

再び政権へ、そして再び野党へ

2005年の議会選挙で、民主党は少数政党との連携により勝利し、ベリシャが首相として返り咲きました。2009年の議会選挙では社会党との間で激しい選挙戦が繰り広げられましたが、僅差で社会党を上回り、ベリシャ政権は継続されることになりました。

しかし、2013年の総選挙では社会党に政権を奪われ、再び野党に転落。2017年の総選挙ではさらに議席を減らし、社会党に単独過半数を許す結果となりました。2019年5月には、選挙操作疑惑への抗議として、民主党議員18人が議席を返上する事態も発生しました。

2021年の総選挙では59議席を獲得したものの、政権奪還には至っていません。

現在の立ち位置

アルバニア民主党は、現在、中道民主インターナショナルの正式メンバーであり、欧州人民党のオブザーバーでもあります。アルバニアの民主化と経済発展に貢献するため、今後も活動を続けていくことが期待されます。

課題と展望

アルバニア民主党は、過去の政権運営における失敗や、党内の分裂など、多くの課題を抱えています。しかし、アルバニアの二大政党の一つとして、その役割は依然として重要です。今後の民主党が、これらの課題を克服し、国民の信頼を回復することができるかどうかが、アルバニアの政治の安定と発展を左右すると言えるでしょう。

参考

* アルバニア民主党公式ウェブサイト（アルバニア語）

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