アルピコ交通20100形電車

アルピコ交通20100形電車

アルピコ交通20100形電車は、2022年から上高地線で運用を開始した通勤形電車です。老朽化した3000形電車の置き換えを目的として導入されました。この車両は、東武鉄道で活躍していた20000系電車を改造したもので、2両編成で構成されています。

概要

20100形は、東武鉄道20000系の中間車を改造して製造されました。種車となったのは、20000型と20050型で、それぞれ先頭車化改造が行われました。これにより、制御電動車モハ20100形と制御車クハ20100形という2両編成が誕生しました。

2021年度に最初の編成が改造され、2021年12月に新村車両所へ搬入後、各種試験や乗務員訓練を経て、2022年3月25日に営業運転を開始しました。その後、1年に1編成ずつ導入が進められ、最終的に3000形の全編成を置き換える計画です。

東武鉄道の車両が他の鉄道事業者に譲渡されたのは、約25年ぶりとなります。

沿革

2021年12月28日：第一編成（モハ20101＋クハ20102）が新村車両所に搬入。
2022年3月25日：第一編成が営業運転を開始。
2022年6月10日：災害復旧による運転再開により松本駅 - 渚駅間に同系列が初入線。
2022年12月12日：第二編成（モハ20103＋クハ20104）が新村車両所に搬入。
2023年3月18日：第二編成が営業運転を開始。
2023年12月11日：第三編成（モハ20105＋クハ20106）が新村車両所に搬入。
2024年3月16日：第三編成が営業運転を開始。
2024年12月9日：第四編成（モハ20107+クハ20108）が新村車両所に搬入。

主な改造点

モハ20100形：20050型中間車(モハ25850)を種車として先頭車化改造。
クハ20100形：20000型中間車(モハ24800・モハ26800)を種車として先頭車化改造。
運転台を新設。

外観

20100形は、アルピコカラーである白色をベースに、紫色・ピンク色・山吹色・緑色・赤色の斜めストライプ（「ダイナミックストライプ」）を纏っています。また、「Highland Rail」のロゴも入っています。窓ガラス周りは黒色で塗装され、上部には前照灯・尾灯と行先表示器が設置されています。

ワンマン運転に対応するため、ホーム確認用のサイドミラーが左右に取り付けられています。雪対策としてスノープラウも設置されています。第二編成からは、前面下部のステップ形状が変更され、ステップ上部両側に取っ手が追加されました。第三編成からは、前面の車番書体が変更されています。

側面はステンレス無地で、窓下腰部と雨樋下にはアルピコブルーの帯が巻かれています。妻面には、帯と同色の大きな「ALPICO」ロゴが配置されています。

行先表示器は、アルピコ交通の車両で初めてとなるフルカラーLEDが採用され、視認性が向上しました。

クハ20100形には2基、モハ20100形には1基のシングルアーム式パンタグラフが搭載されています。クハ20100形に2基搭載されているのは、補助電源装置（SIV）への電力供給を安定させるためです。モハ20100形のパンタグラフは集電用ではなく霜取り用です。

内装

内装は、壁面の化粧板が新調され、座席モケットは緑色、床材は木目調にそれぞれ変更されました。天井には、行先や次の駅名などを表示する29インチワイドの液晶モニターが1両あたり6台設置されています。モニターは、ドア上ではなく天井から吊り下げられています。これは、ドア上に取り付けると角度によって画面が見えにくくなるためです。

ワンマン運転用の車内確認用カメラに加え、防犯カメラが1両あたり3台設置されています。また、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、プラズマクラスターイオン発生装置が1両あたり4台設置されています。

クハ20102－モハ20101編成では、モハが元20050型、クハが元20000型であるため、ラインフローファン整風板の形状が異なっています。

乗務員室の運転台は、T字型ワンハンドルマスコンが新設されました。ドア開閉スイッチなど、ワンマン運転に必要な機器類も運転台周りに集約されています。室内には、東武鉄道時代の車両番号プレートが残されており、車外からも見ることができます。

制御機器

20100形は、アルピコ交通では初となるVVVFインバータ制御を採用しています。制御装置は東洋電機製造製のIGBT素子VVVFインバータ装置で、耐寒・耐雪仕様となっています。性能は、JR東日本E129系[[電車]]やしなの鉄道SR1系電車と同等です。

補助電源装置（SIV）も東洋電機製造製で、IGBT素子による静止形インバータです。出力電圧は三相交流220V、定格容量は85kVAです。

編成表

VVVF：VVVFインバータ装置
SIV：補助電源装置（静止型インバータ）
CP：空気圧縮機
< >：シングルアームパンタグラフを2基搭載
>：シングルアームパンタグラフ（霜取り用）を1基搭載
（ ）内は東武鉄道時代の車両番号。

脚注

出典

関連項目

松本電気鉄道3000形電車
* 東武20000系[[電車]]

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