アルピーヌ・A441

アルピーヌA440/A441：栄光への軌跡

アルピーヌは、1973年、ルノー傘下となったことを機に、ヨーロッパツーリングカー選手権にA440で参戦。4年ぶりのスポーツカーレース復帰となりました。A440は、スペースフレームシャシー、ダブルウィッシュボーンサスペンションという当時一般的な構成で、ミシュラン製13インチタイヤを履き、マルセル・ユベールによる洗練されたボディワークを纏っていました。搭載されたのは、ルノー・ゴルディーニ製の2リッターV6型DOHCエンジン(CH-1型)で、最高出力285ps/9800rpmを発生。トランスミッションにはヒューランドFT200型が採用されました。ドライバーはジャン＝ピエール・ジャブイーユが務めましたが、残念ながら1973年シーズンはポイントを獲得することはできませんでした。

A441：進化と勝利

A440の経験を活かし、アルピーヌは改良型となるA441を開発しました。信頼性の向上を目指し、エンジン（CH-1型）の改良に加え、トランスミッションをヒューランドFT200型からFG400型に変更。徹底的なテストと改良を重ねた結果、1974年シーズンはヨーロッパツーリングカー選手権で全戦優勝という圧倒的な成績を収めました。

ドライバーズチャンピオンを獲得したのはアラン・セルパッジ。2位にはジェラール・ラルース、3位にはジャブイーユと、アルピーヌ勢が上位を独占する圧勝劇となりました。A441の戦闘力は他を圧倒し、アルピーヌチームの技術力の高さを証明する結果となりました。

挑戦と活躍の舞台：ル・マンと日本

1975年には、ル・マン24時間レースにエクイップ・エルフ・フランスからA441Cが出場。マリー・クロード・ボーモンとレラ・ロンバルディという女性ドライバーペアがステアリングを握り、予選9位で決勝に進出しましたが、8時間で燃料ポンプのトラブルによりリタイアという結果に終わりました。

同年後半には、日本へ舞台を移し、富士グランチャンピオンシリーズ(GC)に参戦。ジャブイーユがドライブするA441は、第4戦富士マスターズ250キロでポールポジションを獲得するも、悪天候とアクシデントにより決勝は延期、そして欠場となりました。続く第5戦富士ビクトリー200キロには、ボーモンがGC初の女性ドライバーとしてA441をドライブし、10位でフィニッシュしました。

その後も、A441はハラダ・レーシングによってGCや耐久レースで活躍を続けました。1978年の富士ロングディスタンスシリーズでは、長谷見昌弘と星野一義のペアが1勝2位2回という好成績でランキング2位を獲得。アルピーヌA441は、ヨーロッパのみならず日本でもその実力を遺憾なく発揮したのです。

まとめ

アルピーヌA440/A441は、ルノーの技術とアルピーヌのレースへの情熱が結実したレーシングカーでした。A440の経験を基に進化したA441は、ヨーロッパ選手権での全勝、そして日本での活躍など、輝かしい成績を残しました。女性ドライバーの挑戦や、日本のモータースポーツシーンへの貢献も、A441の歴史に彩りを添えています。これらのマシンは、アルピーヌの歴史において重要な役割を果たし、現在も多くのファンを魅了し続けているのです。

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