アルブルケルケ

アルブルケルケ（Alburquerque）

スペイン西部、エストレマドゥーラ州の北部に位置するカセレス県にあるムニシピオ（基礎自治体）、それがアルブルケルケです。その名の響きは、遠くアメリカ合衆国ニューメキシコ州の都市、アルバカーキの名称の由来となったことでも知られています。

名称の由来と歴史

アルブルケルケという地名は、ラテン語で「白いオーク」を意味する「Albus querqus」に起源を持つとされています。また、アラブ支配時代には、この地域に豊富に自生していたコルクガシにちなんで「アブ＝アル＝クルク」（Abu-al-Qurq、コルクガシの土地）と呼ばれていました。この地名はやがて、大航海時代を通じてアメリカ大陸やフィリピンといった新世界へと伝わり、新たな土地の名前として根付くことになります。

歴史遺産と町並み

アルブルケルケの地には、古代ローマ属州ヒスパニアの時代から人々の定住が確認されていますが、現在見られる町並みは、主に中世に形作られた豊かな歴史遺産によって特徴づけられています。旧市街を見守るようにそびえる山の上には、かつて難攻不落と謳われた堅牢なルナ城が建っています。城壁の内部には、中世に栄えたゴシック様式のユダヤ人地区があり、「ビリャ・アデントロ」と呼ばれていました。この地区の狭い通りには、特徴的な尖った形の鴨居を持つ家々が並んでいます。そのいくつかは、1492年のユダヤ人追放以前に住んでいたユダヤ系住民の出自を示す証しを今なお留めており、この地の多様な歴史を物語っています。

地政学的影響と新世界への波

ポルトガルとの国境に近接するという地理的な条件は、アルブルケルケの歴史に大きな影響を与えてきました。長きにわたり、対ポルトガル戦争の最前線となることが多く、度重なる戦闘によって町が破壊され、男性たちが兵士として戦場に駆り出されて命を落としたため、一時期は町が閑散としてしまうといった悲劇も経験しています。

しかし、アメリカ大陸やフィリピンの植民地化が進む時代になると、アルブルケルケの多くの男性たちが新たな活躍の場を求めて海を渡りました。彼らは「コンキスタドール（征服者）」として、あるいは開拓者として、新天地で様々な成功を収めましたが、同時に多くの者が異国の地で命を落としました。ナバロ・デル・カスティーリョによる記録によれば、アメリカやフィリピンに渡ったコンキスタドールは96人に及んだとされています。その中には、ベネズエラにおいてカラカスの建設に携わったフアン・カスタニョや、同じくベネズエラの都市エル・トクヨの建設にも関わった人物がいました。また、ペルー征服に参加したフアン・ルイス・デ・アクレは、インカ帝国の支配者アタワルパがピサロによって拘束された際の出来事を詳細に年代記に記し、さらにカハマルカからクスコに至るピサロ軍の行軍経路を記録するなど、貴重な歴史的資料を残しています。

経済と現代の取り組み

アルブルケルケの経済は、古くから畜産業が盛んであり、特にイベリコ豚の伝統的な生産地として知られています。近年では、持続可能な社会の実現に向けた取り組みも積極的に行われており、2010年時点では、自治体として再生可能エネルギー施設、特に太陽光発電所の設置に重点を置いた政策を進めています。

行政と司法

自治体としてのアルブルケルケは、首長としてエストレマドゥーラ社会労働党所属のアンヘル・バディージョ・エスピーノ氏が務めています（2011年5月22日の自治体選挙結果に基づく）。自治体評議会は、エストレマドゥーラ社会労働党から11名、エストレマドゥーラ国民党から2名が選出されています。司法行政においては、バダホス司法管轄区に属しています。

姉妹都市

アルブルケルケは、その名の由来となったアメリカ合衆国ニューメキシコ州のアルバカーキ市と姉妹都市提携を結んでおり、両市間の交流が行われています。

古来より多様な歴史の波に洗われながらも、独自の文化と伝統を守り継いできたアルブルケルケは、現在もなお、その歴史的な魅力と現代的な取り組みが融合する町として存在感を放っています。

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