カハマルカ

カハマルカは、ペルー北部の山々に囲まれた盆地に位置する、標高2750mの都市です。カハマルカ県の県都であり、その歴史は2000年以上前に遡ります。

歴史

この地には、前チャビン文明の痕跡が残るクンベ・マヨやクントゥル・ワシといった周辺の考古学遺跡が存在し、古代から人々が生活していたことが伺えます。15世紀には、インカ帝国がこの地を支配下に置き、カハマルカは帝国内の重要な拠点となりました。1532年、インカ帝国最後の皇帝アタワルパは、キトでの戦いで兄弟を破り、王位を要求するためカハマルカに滞在しました。その際、フランシスコ・ピサロ率いるスペインのコンキスタドールたちと対峙することになります。

ピサロは、わずか168人の兵を率いてカハマルカに到着し、アタワルパに降伏を勧告しました。アタワルパがこれを拒否したため、ピサロは武力による制圧を決断。1532年11月16日、カハマルカの戦いでアタワルパを捕縛し、多数のインカ市民や兵士が殺害されました。

捕らえられたアタワルパは、カハマルカの主要な寺院に幽閉されます。彼は解放の身代金として、部屋を金で、その2倍の量を銀で満たすことを提案。スペイン人はこれを受け入れますが、実際にはアタワルパを解放するつもりはありませんでした。身代金の部屋、エル・クアルト・デル・レスカテとして知られるこの場所で、アタワルパは最終的に処刑され、インカ帝国の歴史に大きな転換点をもたらしました。

姉妹都市

カハマルカは、以下の都市と姉妹都市提携を結んでいます。
ウアラス (ペルー)
ロハ (エクアドル)
マタガルパ (ニカラグア)
タスコ・デ・アラルコン (メキシコ)

近郊の著名スポット

カハマルカ近郊には、魅力的な観光スポットが点在しています。
インカの温泉（Baños del Inca）: アタワルパが愛用したとされる温泉地。現在も入浴施設として利用され、地元住民や観光客に親しまれています。
クントゥル・ワシ遺跡（Kuntur Wasi）: 紀元前800年頃の先アンデス文明の神殿遺跡。東京大学古代アンデス文明調査団による発掘調査が行われ、多くの黄金製品が発見されています。
クンベ・マヨ（Cumbe Mayo）: カハマルカから約20km離れた場所に位置する、標高3500mの奇岩群。古代の水路が刻まれており、その景観は圧巻です。
ワカロマ遺跡：この地域には、まだ発掘調査が進んでいない古代の遺跡が存在しています。

カハマルカは、歴史的な背景と豊かな自然が調和した、魅力あふれる都市です。植民地時代の面影を残す街並みや、古代文明の遺跡を訪れることで、ペルーの奥深い歴史を体験することができます。

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