アルブレヒト・フォン・ウラッハ

アルブレヒト・フォン・ウラッハ：多彩な才能を発揮した貴族

アルブレヒト・フォン・ウラッハ（1903年 - 1969年）は、ドイツの貴族であり、画家、戦時作家、ジャーナリスト、言語学者、そして外交官として、多岐にわたる分野で活躍した人物です。彼の波乱に満ちた生涯と業績を詳細に解説します。

生い立ちと家族

アルブレヒトは、第一次世界大戦中に短期間リトアニア国王に選出されたウラッハ公ヴィルヘルム2世の三男として生まれました。母はバイエルン公カール・テオドールの娘アマーリエであり、オーストリア皇后エリーザベトの姪にあたります。ウラッハ家は、かつてヴュルテンベルク王国を統治していたヴュルテンベルク家の貴賤結婚による分家であり、シュトゥットガルトのリヒテンシュタイン城に居住していました。

父方の祖母はモナコ公国のフロレスティーネ公妃であり、アルブレヒトの名は公妃の甥であるモナコ公アルベール1世に由来します。1911年から1918年まで、ウラッハ家はモナコ公位継承権を持っていました。

画家としての才能

第一次世界大戦後、アルブレヒトはシュトゥットガルトで絵画を学び、その後パリのグランド・ショミエール芸術学校で表現主義の才能を開花させました。1930年代には、レスター、ロンドン、パリ、オスロで展覧会を開催しましたが、大恐慌の影響で画家としての生計が困難になり、フリーランスのカメラマンに転身しました。

彼の画家仲間には、ヴィリ・バウマイスターやフェルナン・レジェがいました。アルブレヒトは作品に「AvU」というサインを入れていました。1950年代になると、再び絵を描き始めました。

フォトジャーナリストとしての活躍

1934年、アルブレヒトはムッソリーニとヒトラーの秘密会談の写真を撮影し、ジャーナリストとしての名声を確立しました。同年9月からは東京を拠点に、日中戦争やノモンハン事件を取材しました。ジャーナリストとしての活動のため、1934年にナチスに入党しています。

東京駐在武官で後に駐日大使となったオイゲン・オットは、ウラッハ家と家族ぐるみの付き合いがありました。また、アルブレヒトは赤軍のスパイ、リヒャルト・ゾルゲとも親交があり、ゾルゲの家に泊まることもあったと伝えられています。

第二次世界大戦と外交官としての活動

1939年にヨーロッパに戻ると、アルブレヒトは外務省でドイツとイタリアの報道関係者の連絡官に任命され、ローマに派遣されました。そこでイタリアのチャーノ外相と親交を深めます。1940年には、中立国だったアメリカとイタリアのジャーナリストをノルウェー侵攻やロシア侵攻の取材に同行させました。

1941年には、日本がアジア地域でイギリスに攻撃を仕掛けるよう工作するという秘密の任務を帯びて日本に派遣されましたが、任務は失敗に終わりました。帰国後、極東の専門家として日本の躍進について執筆し、1943年には「日本の強さの秘密」を出版しました。この著作は80万部を売り上げました。

1944年、アルブレヒトは副領事に昇進し、ベルンのドイツ領事館付報道官に任命されました。ここでは、モナコ公国のシャルル銀行を通じてスイスからアメリカへの資産密輸を援助しました。1945年5月、フランス国境に追放され、抑留されました。

生涯後半

1946年から1948年にかけて、アルブレヒトはナチスのプロパガンダに関与したとして裁判にかけられましたが、罪には問われませんでした。その後、フリーランスのジャーナリストとして活動を再開し、1953年から1967年までダイムラー・ベンツで広報主任を務めました。1969年、脳溢血のため死去し、ヴァルデンブルクに埋葬されました。

家族

アルブレヒトは2度結婚しています。最初の妻はジャーナリストで画家のローズマリー・ブラッカダーで、娘のマリーエ＝ガブリエーレをもうけました。2番目の妻はウテ・ヴァルドシュミットで、2人の子供を授かりました。

著作

Ostasien: Kampf um das kommende Grossreich (1940)
Das Geheimnis japanischer Kraft (1943)
* Japans schöpferische Aussenpolitik (1944)

アルブレヒト・フォン・ウラッハは、激動の時代を生き抜き、多岐にわたる分野で才能を発揮した人物でした。彼の生涯は、20世紀のヨーロッパの歴史を色濃く反映しています。

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