アルベルト・フェルナンデス

アルベルト・アンヘル・フェルナンデス：アルゼンチンの政治家、元大統領

アルベルト・アンヘル・フェルナンデス（Alberto Ángel Fernández）は、1959年4月2日生まれのアルゼンチンの政治家、法学者です。2019年から2023年までアルゼンチンの大統領を務めました。

経歴

ブエノスアイレスで生まれたフェルナンデスは、幼少期に両親が離婚し、母親に育てられました。ブエノスアイレス大学法科大学院を卒業後、刑法学者としてキャリアをスタートさせ、ブエノスアイレス市議会や国会下院の顧問を務めました。また、経済省法務局副局長として、GATTウルグアイ・ラウンドのアルゼンチン代表団首席交渉官を務めるなど、国際的な舞台でも活躍しました。

1989年から1992年には、カルロス・メネム大統領の推薦でラテンアメリカ保険業協会総裁を務め、保険法の専門家としてメルコスールやラテンアメリカ統合連合 (ALADI) などにも関与しました。1992年には「最も傑出したアルゼンチンの青年10人」に選出されています。

2000年には、保守政党「共和国のための行動」所属のブエノスアイレス市議会議員に選出されました。

内閣官房長官

2003年、ネストル・キルチネルが大統領に就任すると、フェルナンデスは内閣官房長官に指名され、市議会議員を辞職しました。2007年にクリスティーナ・フェルナンデス・デ・キルチネル（ネストルの妻）が大統領となっても官房長官に留任し、その手腕を発揮しました。

2008年、キルチネル政権が輸出農産物への新たな税制導入を試み、農業団体との対立が深まると、政権の首席交渉官として奔走しましたが、交渉は決裂。同年7月23日に官房長官を辞任しました。

その後、与党・正義党のブエノスアイレス市支部長に就任しましたが、2009年の国会議員選挙では目立った活動は見られませんでした。2011年の大統領選挙では、正義党の大統領候補を目指しましたが、最終的にクリスティーナ・キルチネルの再選を支持しました。2015年の大統領選挙では、正義党系のセルヒオ・マッサ陣営の選挙対策本部長を務めました。

大統領選と大統領就任

2019年、クリスティーナ・キルチネルはフェルナンデスを大統領候補に指名し、自身は副大統領候補としてフェルナンデスを支えることを発表しました。選挙戦では、中間層の支持を得るため、セルヒオ・マッサと選挙協約を結び、労働総同盟の支持も取り付けました。

8月11日の第一回投票では、得票率47.7%で首位に立ち、10月27日の本選挙では48.1%の票を獲得してマウリシオ・マクリを破り、大統領に当選しました。

2019年12月10日に大統領に就任。就任後、「社会的連帯・生産力回復法案」を可決し、公共料金の凍結、国家公務員の退職金や子ども手当の増額、最貧困層への配給切符支給などの政策を打ち出しました。また、1000億米ドルの国債や、マクリ前政権がIMFから調達した450億米ドルの返済期日の再交渉にも着手しました。

さらに、政治的な思惑による捜査を防ぐため、連邦情報局 (AFI) の改革も行いました。

2021年には、ロシアの新型コロナワクチン「スプートニクV」の接種を受けたものの、後に新型コロナウイルスに感染したことが確認されました。

2023年4月、同年10月の大統領選挙には再選を目指さず、1期で退任する意向を表明しました。

アルベルト・フェルナンデスは、アルゼンチンの政治において重要な役割を果たした人物の一人です。彼の政策やリーダーシップは、アルゼンチンの社会や経済に大きな影響を与えました。

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