マウリシオ・マクリ

マウリシオ・マクリ：アルゼンチンの政治家、大統領としての足跡

マウリシオ・マクリ（Mauricio Macri）は、1959年2月8日生まれのアルゼンチン人政治家であり、第57代アルゼンチン大統領を務めました。中道右派の政治家として知られています。

生い立ちと経歴

マクリはブエノスアイレス州タンディルで、イタリア移民の実業家を父に持つ家庭に生まれました。アルゼンチンカトリック大学で土木工学を学んだ後、父親が経営する企業グループでアナリストとしてキャリアをスタートさせました。32歳の時には誘拐被害に遭いましたが、身代金の支払い後に解放されています。

政界入り前は、1995年から2007年まで、そして2008年の短期間、アルゼンチンの名門サッカークラブ、ボカ・ジュニアーズの会長を務めました。その後、2005年に国会議員に当選し、政界での足場を固め、2007年にブエノスアイレス市長に当選。2011年には再選を果たしました。

大統領として

2015年、マクリは大統領選挙に「共和国の提案」の代表として出馬し、経済の自由化や投資家重視の政策を訴えました。急進市民同盟などとの統一戦線「変革」を結成し、決選投票の末に当選。同年12月10日に大統領に就任しました。

大統領としては、市場原理主義的な政策を推進し、国外での国債発行や社会保障支出の削減といった緊縮財政政策を実施しました。また、前政権とは異なり、親米的な外交政策を展開。ベネズエラなどの反米的な南米諸国と対立し、南米諸国連合への参加を中止するなど、外交姿勢を明確にしました。中国との関係も見直し、安全保障面での姿勢を鮮明にしました。

しかし、国内経済においては、為替自由化に伴う通貨危機やアルゼンチン・ペソの暴落を招き、経済は不安定化しました。

2019年の大統領選挙では再選を目指しましたが、予備選挙で左派の野党候補に敗北。市場はマクリの敗北を織り込み、アルゼンチン・ペソが急落するなど、経済状況はさらに悪化しました。

パナマ文書

2016年に公開されたパナマ文書により、マクリ自身がタックスヘイブンを利用した租税回避を行っていたことが明らかになり、アルゼンチン国内で捜査や辞任を求めるデモが発生しました。

家族

2度の離婚歴があり、最初の妻との間に3人の子供がいます。2010年に3度目の結婚をし、一女をもうけています。

マクリ・ガトー

「マクリ・ガトー」という言葉は、マクリの大統領就任を揶揄するために作られた用語です。「ガトー」（gato）はスペイン語で猫を意味し、アルゼンチンの隠語で、パトロンのような役割を指します。マクリの政治的無力さを揶揄するニュアンスが込められています。

マウリシオ・マクリは、アルゼンチンの政治・経済に大きな影響を与えた人物であり、その政策や行動は国内外で様々な議論を呼びました。

関連項目

ラウル・アルフォンシン
カルロス・メネム
フェルナンド・デ・ラ・ルア
新自由主義

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