アレクサンドロフスク・サハリンスキー

アレクサンドロフスク・サハリンスキーは、ロシア連邦サハリン州に位置する、北サハリン西海岸の主要都市です。間宮海峡に面しており、州都ユジノサハリンスクからは約560キロメートル離れています。市内にはボリシャヤ・アレクサンドロフカ川が緩やかに蛇行し、その川沿いの丘に市街地が広がっています。

産業と交通

現在の主な産業は林業ですが、農業、漁業、縫製業も行われています。港は遠浅のため大型船舶の接岸が難しく、艀が利用されています。鉄道は通っておらず、内陸部への移動は主に道路が使われています。しかし、2020年には郊外に飛行場が開港し、アヴィアシェリフ社による定期便でユジノサハリンスク空港と結ばれました。1968年には21,000人だった人口は、2021年には9,106人と減少しています。

気候

この地域は、気象通報のポロナイスクの補助通報地点でもあります。

歴史

アレクサンドロフスク・サハリンスキーは、1881年に流刑地として開設された後、サハリン行政の中心として発展しました。1890年には、文豪アントン・チェーホフがこの地に3ヶ月滞在し、流刑囚の実態を調査し、後に『サハリン島』を著しました。1946年までは、ロシア領サハリン・ソ連領北サハリンの中心都市でした。

樺太・千島交換条約（1875年）以前の日本名は、アイヌ語由来の「落石（おっちし）」でした。ニヴフ語では「イドイー」と呼ばれています。南樺太が日本領であった時代には、「亜港（あこう）」と呼ばれたこともあります。シベリア出兵の際には、日本が数年間占領していました。

交通

内陸部への移動は、主に車やバスを利用します。最寄りの鉄道駅はティモフスク駅で、市街地から東に西樺太山脈の北部を越える国道を経由してバスでアクセスできます。所要時間は車で約1時間30分、バスで約2時間です。また、ユジノサハリンスク駅前のバスターミナルから504番のバスを利用することも可能です。2020年11月には、空港が開港しました。

名所旧跡

歴史・文学博物館 “チェーホフとサハリン”

アントン・チェーホフ生誕100周年を記念して1990年9月に開館した博物館です。木造平屋建ての建物は、元流刑囚ランズベルクの住居兼店舗を改修したものです。チェーホフが実際に訪れた場所でもあります。

館内には、チェーホフの調査の成果である『サハリン島』の初版本、滞在中に親類に送った自筆の電報、旅行中に使用したスプーンやティーカップ、バッグなどの身の回り品、囚人たちが炭鉱で働く様子を描いた絵画などが展示されています。チェーホフの業績や流刑囚の実態を知ることができます。また、日本に関連するものとして、コルサコフ（大泊）でチェーホフが日本の領事館員と酒を酌み交わす写真も展示されています。

原則として土曜日と日曜日が休館日です。館内での写真撮影には、入館料に加えて撮影料が必要です。

三人兄弟の岩

郊外の岬近くにそびえ立つ3つの岩です。直線状に並んで海上にそびえる姿から「三人兄弟の岩」と呼ばれています。アントン・チェーホフの『サハリン島』にも描写されています。

中央広場

元は刑務所の運動場だった場所です。現在では、囚人たちの慰霊碑やレーニン像があります。

脚注

これらの情報は、以下の参考文献に基づいています。

地球の歩き方編集室編 『シベリア＆シベリア鉄道とサハリン 2007～2008年版』（地球の歩き方A32）、ダイヤモンド社、2006年
徳田耕一 『サハリン-鉄路1000キロを行く-』（JTBキャンブックス）、JTB、1995年
徳田耕一 『サハリン・カムチャツカ』（ワールドガイド ヨーロッパ19）、JTBパブリッシング、2007年
北海道新聞社編 『北海道新聞総力ガイド ロシア極東1 サハリン』 北海道新聞社、2001年

外部リンク

* アレクサンドロフスク・サハリンスキー市公式サイト（ロシア語）: http://aleksandrovsk.sakh.com/

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