アレクセイ・オクラドニコフ

アレクセイ・パーヴロヴィチ・オクラドニコフ

アレクセイ・パーヴロヴィチ・オクラドニコフ（1908年10月3日 - 1981年11月18日）は、ソビエト連邦およびロシアの著名な考古学者で、特に北アジアの先史文化に関する研究で知られています。彼はロシアのイルクーツク州、レナ河上流の小村、コンスタンチノフシチナで生まれました。

幼少期と教育

オクラドニコフはアギンスコエの中学校に通い、その頃に郷土史に興味を持ち、地域の生活様式や伝説、民謡を記録する活動を始めました。この関心は、イルクーツクに住む考古学者ハローシフの講演がきっかけで深まります。1925年にはイルクーツクの師範学校に進学し、その後イルクーツク大学で学び、1928年にはイルクーツク郷土博物館の民族学部の主任に就任しました。

考古学者としてのキャリア

1934年、オクラドニコフはレニングラードの物質文化研究所でピョートル・エフィメンコに師事し、旧石器時代についての研究を始めます。その後、1968年にはロシア科学アカデミーの会員に選出され、シベリア支部の考古学民族学研究所の所長として活動しました。彼は1978年には「社会主義労働英雄」の称号を受け、数多くの後進を指導してきました。

オクラドニコフの弟子には、ノヴォシビルスク大学の学長アナトリー・デレビヤンコや、考古学民族学研究所所長のビャチェスラフ・モローディンなどが挙げられます。また、極東連邦大学のエ・ヴェ・シャフクノフという研究者も彼の影響を受けています。

主な業績

彼の主な業績は、1928年からイルクーツク地方の古文書を研究し、レナ河上流やザバイカル地方での考古学調査です。この際、オクラドニコフは新石器時代や青銅器時代の遺跡を発見し、西ブリヤート族やエヴェンキ族に関する資料を収集しました。特に1926年から1931年のレナ河上流とセレンガ河下流域での調査では、ファファノヴォの墓を特に重要な遺跡として発見しました。

さらに、彼は北アジア岸壁画の研究を始め、考古学と民族学の融合を試みる「オクラドニコフ的解釈法」を確立しました。1932年から彼はアンガラ川に沿った約600キロの調査を行い、多くの埋葬遺跡を確認しました。

オクラドニコフはまた、1935年にアムール川下流域の調査を行い、そこで半地下式住居址の存在を確認しました。その後、1936年にはアンガラ川下流域を踏査し、北アジアの上部旧石器時代の遺跡であるプレチを発掘しました。彼はさらに、1938年にウズベキスタンで中部石器時代の遺跡であるテシク・タシュ洞窟とアミル・テル洞窟を発見しました。

1940年から1945年にかけては、レナ川の源流から5000キロを網羅する調査を実施し、この地域における旧石器時代の遺跡を明らかにしました。また、森林狩猟民の新石器文化が北ユーラシア全域に広がっていたことを示しました。

著作

オクラドニコフは著作活動も行っており、以下の代表的な訳書があります。

• - 『黄金のトナカイ 北アジアの岩壁画』加藤九祚訳（1968）
• - 『シベリアの古代文化 アジア文化の一源流』加藤九祚・加藤晋平訳（1974）
• - 『シベリア極東の考古学 1 極東篇』岩本義雄・大塚和義ほか訳（1975）
• - 『シベリア極東の考古学 2 沿海州篇』荻原眞子・中島寿雄・中村嘉男訳（1982）

オクラドニコフは、考古学と民族学の両面から北アジアの文化遺産を深く理解しようとした学者で、その業績は今も多くの研究者に影響を与えています。彼の考察は、現代の考古学における重要な基盤となっており、後世への貴重な遺産となっているのです。

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