カレリアントレインズSm6電車

カレリアントレインズSm6電車、通称「アレグロ」は、フィンランドの首都ヘルシンキとロシア第二の都市サンクトペテルブルクを結ぶ高速列車に使用される電車です。この電車はカレリアントレインズ社が所有し、両都市間を快適かつ迅速に移動するための重要な役割を担っています。

運行は2010年12月12日に開始され、開業時にはフィンランドのタルヤ・ハロネン大統領とロシアのウラジーミル・プーチン首相が同乗しました。この出来事は、両国間の協力と高速鉄道の重要性を示す象徴的な出来事として注目されました。

Sm6電車は、同じくVRグループが運用するSm3電車と外観が似ていますが、技術的な基盤は大きく異なります。Sm3がETR460型をベースにしているのに対し、Sm6は最新型のETR600・610型、通称「ニューペンドリーノ」を基盤としています。車体傾斜システムも異なり、Sm3がフィアット社設計の油圧式であるのに対し、Sm6はアルストム社が新たに設計した空気圧式を採用しています。この違いは、よりスムーズで快適な乗り心地を実現するための技術革新を示しています。

最高運転速度は220km/hで、ヘルシンキとサンクトペテルブルク間の所要時間を従来の5時間30分から約3時間30分に短縮することを目的としています。この高速化を実現するために、VRグループとロシア鉄道がそれぞれ50%ずつ出資する合弁会社カレリアントレインズが設立されました。Sm6電車は、両国の異なる鉄道システムに対応できるよう、様々な工夫が施されています。

電気方式は、フィンランド国内で使用される交流25kV50Hzと、ロシア国内で使用される直流3kVの両方に対応した交流直流両用電車です。台車は、フィンランド国内の軌間1,524mmと、ロシア国内の軌間1,520mmの両方に対応しており、狭い軌間での運行も可能です。また、出入り口には、高さの異なるプラットホームに対応するため可動式ステップが装備されています。フィンランドのプラットホームの高さは550mm、ロシア直流区間のプラットホームは1,100mmと大きく異なりますが、この可動式ステップによってスムーズな乗降が可能です。なお、フィンランド北中部やロシア交流区間には200mmの低いプラットホームが標準ですが、可動式ステップで対応可能であるものの、定期列車での客扱いの実績は現在ありません。

愛称の「アレグロ」は、音楽用語で「速く」を意味する言葉から取られており、高速鉄道としての特性を象徴しています。この名前は、乗客に快適で迅速な移動体験を提供しようとするカレリアントレインズの姿勢を表しています。

Sm6電車は、両国の技術協力の結晶であり、都市間の移動をより便利に、より快適にするための重要なインフラストラクチャーとして、その役割を果たしています。その導入は、両国間の経済活動と文化交流を促進する上で大きな役割を果たしており、今後も両都市間の架け橋として活躍していくことが期待されます。

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