アレチウリ

アレチウリ

概要

アレチウリ（学名: Sicyos angulatus）は、北アメリカ原産のウリ科に属する一年生の大型つる植物です。英名「burr cucumber」は「とげのあるキュウリ」を意味します。日本では本州以南に帰化しており、その旺盛な繁殖力と生育力から、国の「特定外来生物」および日本生態学会の「日本の侵略的外来種ワースト100」に指定されています。

分布と生育環境

北米原産ですが、外来種として世界各地に広く分布しています。日本では、やや湿り気のある肥沃な土壌を好み、河川敷や林縁などでしばしば大規模な群落を形成します。

形態

一年生の草本でありながら、茎はつる状に数メートルもの長さに伸び、3〜4分岐する巻きひげで他のものに絡みつきます。葉には長い柄があり、通常3〜7裂し、表面は白い凸点があってざらつきます。

花期は8月から9月で、雌雄同株・雌雄異花です。淡緑色の雌花（直径約6mm）は短い枝先に球状に集まり、黄白色の雄花（直径約10mm）は長い枝先に総状に咲きます。

花後の果実は、長さ約1cmの扁平な長卵形〜長楕円形で、柔らかい白いトゲが密生し、金平糖のように固まってつきます。果実の中に種子が1個入っており、種子は扁平な卵形（長さ約1cm）です。アレチウリの繁殖力は非常に高く、1株から多数の種子をつけます。果実に苦味や渋みがあり、食用には向きません。

外来種としての問題

侵入・拡散: 日本へは1952年に輸入大豆に混入して侵入したのが最初とされています。その後、土木工事や物流、野鳥による種子散布、河川の増水などを通じて全国に急拡大しました。現在では、青森県以南から九州にかけての河川敷などで特に大規模に繁茂しています。
生態系・農業への影響: 旺盛なつる性により、他の植物に絡みつき覆い尽くして光合成を妨げ、枯死させてしまいます。在来植物の駆逐により生態系の単純化を招くほか、渡り鳥のねぐらとなるヨシ原などを侵食する問題も起きています。また、スイカの果実汚斑細菌病の原因菌を保持し、農業における二次感染源となる可能性も指摘されています。

駆除と対策

アレチウリの駆除は困難ですが、被害拡大を防ぐためには継続的な対策が不可欠です。各地で駆除活動が行われています。

駆除の基本は、種子ができる前に植物体を抜き取ることです。できるだけ小さいうちに、年に複数回、数年間継続して行うことが効果的とされます。特に、6月から9月にかけて複数回の抜き取りが推奨されています。

2006年に特定外来生物に指定されたのは、その強い生育力と繁殖力により、在来種を駆逐する深刻な影響があるためです。駆除作業時は、アレチウリの花にスズメバチなどが集まることがあるため、刺されないよう注意が必要です。

まとめ

アレチウリは、北米原産のつる植物で、日本では特定外来生物として生態系や農業に被害をもたらしています。その強い繁殖力と生育力により、河川敷などで大群落を作り、在来植物を駆逐しています。被害を防ぐためには、種子散布前の継続的な抜き取りなどの対策が必要であり、作業時にはハチなどに注意する必要があります。

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