アレック・マッコーエン

イングランドを代表する俳優の一人、アレック・マッコーエン（本名：Alexander Duncan McCowen）は、1925年5月26日に生まれ、2017年2月6日に91歳でその生涯を閉じた。CBEの称号も授与された、演劇界および映画界で長きにわたり尊敬を集めた人物である。

ケント州タンブリッジ・ウェルズで誕生した彼は、演技の道に進むことを志し、名門である王立演劇学校で専門的な訓練を受けた。卒業後、彼は主に舞台俳優として活動を開始。ロンドンのオールド・ヴィック・シアターや、世界的に有名なロイヤル・シェイクスピア・カンパニー（RSC）といった一流の劇団で数多くの舞台を踏み、その確かな演技力で高い評価を確立した。

舞台での成功を基盤に、マッコーエンは次第に映画やテレビの世界にも活躍の場を広げていく。特に、サスペンス映画の巨匠アルフレッド・ヒッチコックが監督した1972年の作品『フレンジー』での重要な役や、ジェームズ・ボンドシリーズの番外編にあたる1983年の映画『ネバーセイ・ネバーアゲイン』で演じた兵器開発担当のQ役などは、彼のキャリアの中でも特に広く知られている。

彼はキャリアを通じて、シリアスなドラマからコメディまで幅広いジャンルの作品に出演し、多様な役柄を演じ分ける多才さを示した。映画、テレビドラマ、テレビ映画など、その出演作は多岐にわたり、それぞれの作品で印象的な演技を残している。以下に彼の主な出演作品の一部を記す。

怒りの海 The Cruel Sea (1953)
愛情は深い海のごとく The Deep Blue Sea (1955)
歩兵の前進 Private's Progress (1956) ※クレジットなし
非情の時 Time Without Pity (1956)
脱走4万キロ The One That Got Away (1957)
潜航雷撃隊 The Silent Enemy (1958)
SOSタイタニック/忘れえぬ夜|SOSタイタニック_忘れえぬ夜 A Night to Remember (1958)
恋愛とルイシャム氏 Love and Mr Lewisham (1959) ※テレビドラマ
長距離ランナーの孤独 The Loneliness of the Long Distance Runner (1962)
アレクサンダー・グラハム・ベル Alexander Graham Bell (1965) ※テレビドラマ
華麗なる激情 The Agony and the Ecstasy (1965)
影なき裁き The Witches (1966)
大洋のかなたに The Hawaiians (1970)
フレンジー Frenzy (1972)
スティービー Stevie (1978)
ハノーバー・ストリート 哀愁の街かど Hanover Street (1979)
ヘンリー五世 The Life of Henry the Fifth (1979) ※テレビ映画
十二夜 Twelfth Night (1980) ※テレビ映画
ネバーセイ・ネバーアゲイン Never Say Never Again (1983)
おしどり探偵 The Secret Adversary (1983) ※テレビ映画
フォーエバー・ヤング Forever Young (1984)
Hなえっちな変態SMクラブ Personal Services (1987)
遠い夜明け Cry Freedom (1987)
ヘンリー五世 Henry V (1989)
エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事|エイジ・オブ・イノセンス_汚れなき情事 The Age of Innocence (1993)
経度への挑戦 Longitude (2000) ※テレビ映画
デビッド・コパーフィールド David Copperfield (2000) ※テレビ映画
ギャング・オブ・ニューヨーク Gangs of New York (2002)

舞台で培われた表現力と、映像作品での的確な演技により、アレック・マッコーエンは英国の演劇界および映画界において重要な足跡を残した俳優として記憶されている。彼の死は多くのファンや共演者に惜しまれた。

もう一度検索