アロイシウス・ゴンザーガ
アロイシウス・ゴンザーガ（1568年3月9日 - 1591年6月21日）は、イタリアの名門貴族ゴンザーガ家出身のイエズス会修道士であり、カトリック教会の聖人です。記念日は6月21日。アロイジオ・ゴンザーガ、またはルイージ・ゴンザーガとも呼ばれます。
アロイシウスは、北イタリアのカスティリオーネ・デッレ・スティヴィエーレで生まれました。父はグアスタッラ伯フェランテ1世・ゴンザーガ、母はデッラ・ローヴェレ家出身のマルタ・タナ・ディ・サンテナでした。ゴンザーガ家は、当時イタリアでも有数の名門貴族でした。
父は息子が軍人になることを望み、アロイシウスは幼少期から軍事教練を受けました。8歳の時には、弟のリドルフォと共にメディチ家のフランチェスコ1世・デ・メディチの宮廷に侍童として仕え、教育を受けました。この頃から腎臓を患い、生涯病に苦しむことになります。病床で聖人伝を読み、祈りを捧げる日々の中で、彼は9歳で貞潔の誓いを立てました。1579年、兄弟はマントヴァ公の宮廷に送られますが、その生活の乱れに衝撃を受けます。
1580年に帰郷後、アロイシウスは枢機卿カルロ・ボッロメーオと出会い、初聖体を受けました。また、インド宣教に関する本を読み、宣教師への憧れを抱くようになります。彼は子供たちに教理を教え、修道院を頻繁に訪れるなど、信仰を中心とした生活を送るようになりました。
1581年、アロイシウスの一家はスペインへ渡り、アロイシウスはアストゥリアス公ドン・ディエゴの小姓となります。しかし、俗世での栄達よりも修道生活への憧れが強く、当初はカプチン会に入ろうと考えていましたが、聴罪司祭がイエズス会員であったことから、イエズス会への入会を志すようになります。母は賛成しましたが、父は強く反対しました。1584年、ドン・ディエゴの死後、一家はイタリアに戻り、アロイシウスの意思は変わらなかったため、最終的に家族は修道士になることを諦め、せめて教区司祭になるように勧めます。教区司祭であれば、財産を持ち、司教に昇進する道も開けるからでした。しかし、アロイシウスの望みは宣教師になることでした。
1585年、アロイシウスは皇帝から全ての財産相続権を放棄する許可を得て、イエズス会入会のためローマへ向かいます。家柄の良さから時の教皇シクストゥス5世にも謁見します。1585年11月25日、総長クラウディオ・アクアヴィーヴァの許可を得てイエズス会に入会し、修練院で生活を始めました。修練者として、過度の苦行を避けるようにアドバイスを受けるほど、彼はストイックでした。宮廷以外での人付き合いの少なさから、他の修練者との交流に苦労する面もありました。
体調は依然として悪く、腎臓の不調に加え、皮膚の病気、頭痛、不眠に悩まされました。勉強のためミラノに移りましたが、すぐにローマに戻り療養生活を送ります。1587年11月25日、修道者としての初誓願を立て、1588年から司祭職のための神学研究を始めます。1589年には、弟のリドルフォとマントヴァ公の間のいざこざを解決するため、マントヴァに赴きました。1590年にローマに戻ると、大天使ガブリエルが現れ、彼の命が1年以内に終わるという幻を見たと言われています。
1591年、ローマで疫病が流行し、イエズス会は病院を開設して人々を助けました。アロイシウスもそこで働きたいと望みましたが、長上は彼の感染を恐れ、感染者のいない部署で働かせました。しかし、同僚に感染者がいたため、3月3日にアロイシウスにも感染の兆候が現れました。人々は彼の回復は難しいと考え、病者の塗油を受けました。一時的に回復したものの、体調は悪化の一途をたどります。霊的指導者であったロベルト・ベラルミーノ枢機卿は、アロイシウスがキリストの聖体の祝日の8日間の準備が終わる時にこの世を去るという幻を見たと語りました。そして、その当日である6月21日、体調が良かったにもかかわらず、自らが今日この世を去ると予言した通り、アロイシウスは亡くなりました。享年23歳でした。
彼は、貞潔の徳を守るため、修道生活に入ってから母親の顔さえもまともに見ず、女王に謁見しても顔を見なかったといわれています。
アロイシウスは、ローマのカンポ・マルツィオにあるお告げの教会（後のイグナチオ・デ・ロヨラ教会）に埋葬されました。彼の頭蓋骨は、故郷であるカスティリオーネ・デッレ・スティヴィエーレの司教座聖堂に移されました。生前から聖人として尊敬されていたアロイシウスは、1605年に教皇パウルス5世によって列福され、1726年には教皇ベネディクトゥス13世によって、同じくイエズス会修練者であったスタニスラウス・コストカとともに列聖されました。
1729年、アロイシウスは学生の守護[[聖人]]とされ、1926年には教皇ピウス11世によりカトリック青年の保護者とされました。また、伝染病で倒れたことから、伝染病患者の守護[[聖人]]、最近ではHIV患者の守護[[聖人]]ともされています。
アロイシウスの記念日は、彼の命日である6月21日です。学生および青年の守護[[聖人]]であることから、世界各地の多くのカトリック学校や教育施設がアロイシウスの名を冠しています。
ウィリアム・バンガート『イエズス会の歴史』p.131、原書房、2004年。
聖人伝 アロイシウス・ゴンザーガ イエズス会日本管区のオリジナルよりアーカイブ
* 守護[[聖人]]の一覧（英語）
生涯
アロイシウスは、北イタリアのカスティリオーネ・デッレ・スティヴィエーレで生まれました。父はグアスタッラ伯フェランテ1世・ゴンザーガ、母はデッラ・ローヴェレ家出身のマルタ・タナ・ディ・サンテナでした。ゴンザーガ家は、当時イタリアでも有数の名門貴族でした。
父は息子が軍人になることを望み、アロイシウスは幼少期から軍事教練を受けました。8歳の時には、弟のリドルフォと共にメディチ家のフランチェスコ1世・デ・メディチの宮廷に侍童として仕え、教育を受けました。この頃から腎臓を患い、生涯病に苦しむことになります。病床で聖人伝を読み、祈りを捧げる日々の中で、彼は9歳で貞潔の誓いを立てました。1579年、兄弟はマントヴァ公の宮廷に送られますが、その生活の乱れに衝撃を受けます。
1580年に帰郷後、アロイシウスは枢機卿カルロ・ボッロメーオと出会い、初聖体を受けました。また、インド宣教に関する本を読み、宣教師への憧れを抱くようになります。彼は子供たちに教理を教え、修道院を頻繁に訪れるなど、信仰を中心とした生活を送るようになりました。
1581年、アロイシウスの一家はスペインへ渡り、アロイシウスはアストゥリアス公ドン・ディエゴの小姓となります。しかし、俗世での栄達よりも修道生活への憧れが強く、当初はカプチン会に入ろうと考えていましたが、聴罪司祭がイエズス会員であったことから、イエズス会への入会を志すようになります。母は賛成しましたが、父は強く反対しました。1584年、ドン・ディエゴの死後、一家はイタリアに戻り、アロイシウスの意思は変わらなかったため、最終的に家族は修道士になることを諦め、せめて教区司祭になるように勧めます。教区司祭であれば、財産を持ち、司教に昇進する道も開けるからでした。しかし、アロイシウスの望みは宣教師になることでした。
1585年、アロイシウスは皇帝から全ての財産相続権を放棄する許可を得て、イエズス会入会のためローマへ向かいます。家柄の良さから時の教皇シクストゥス5世にも謁見します。1585年11月25日、総長クラウディオ・アクアヴィーヴァの許可を得てイエズス会に入会し、修練院で生活を始めました。修練者として、過度の苦行を避けるようにアドバイスを受けるほど、彼はストイックでした。宮廷以外での人付き合いの少なさから、他の修練者との交流に苦労する面もありました。
体調は依然として悪く、腎臓の不調に加え、皮膚の病気、頭痛、不眠に悩まされました。勉強のためミラノに移りましたが、すぐにローマに戻り療養生活を送ります。1587年11月25日、修道者としての初誓願を立て、1588年から司祭職のための神学研究を始めます。1589年には、弟のリドルフォとマントヴァ公の間のいざこざを解決するため、マントヴァに赴きました。1590年にローマに戻ると、大天使ガブリエルが現れ、彼の命が1年以内に終わるという幻を見たと言われています。
1591年、ローマで疫病が流行し、イエズス会は病院を開設して人々を助けました。アロイシウスもそこで働きたいと望みましたが、長上は彼の感染を恐れ、感染者のいない部署で働かせました。しかし、同僚に感染者がいたため、3月3日にアロイシウスにも感染の兆候が現れました。人々は彼の回復は難しいと考え、病者の塗油を受けました。一時的に回復したものの、体調は悪化の一途をたどります。霊的指導者であったロベルト・ベラルミーノ枢機卿は、アロイシウスがキリストの聖体の祝日の8日間の準備が終わる時にこの世を去るという幻を見たと語りました。そして、その当日である6月21日、体調が良かったにもかかわらず、自らが今日この世を去ると予言した通り、アロイシウスは亡くなりました。享年23歳でした。
彼は、貞潔の徳を守るため、修道生活に入ってから母親の顔さえもまともに見ず、女王に謁見しても顔を見なかったといわれています。
アロイシウスは、ローマのカンポ・マルツィオにあるお告げの教会（後のイグナチオ・デ・ロヨラ教会）に埋葬されました。彼の頭蓋骨は、故郷であるカスティリオーネ・デッレ・スティヴィエーレの司教座聖堂に移されました。生前から聖人として尊敬されていたアロイシウスは、1605年に教皇パウルス5世によって列福され、1726年には教皇ベネディクトゥス13世によって、同じくイエズス会修練者であったスタニスラウス・コストカとともに列聖されました。
1729年、アロイシウスは学生の守護[[聖人]]とされ、1926年には教皇ピウス11世によりカトリック青年の保護者とされました。また、伝染病で倒れたことから、伝染病患者の守護[[聖人]]、最近ではHIV患者の守護[[聖人]]ともされています。
アロイシウスの記念日は、彼の命日である6月21日です。学生および青年の守護[[聖人]]であることから、世界各地の多くのカトリック学校や教育施設がアロイシウスの名を冠しています。
参考文献
ウィリアム・バンガート『イエズス会の歴史』p.131、原書房、2004年。
外部リンク
聖人伝 アロイシウス・ゴンザーガ イエズス会日本管区のオリジナルよりアーカイブ
* 守護[[聖人]]の一覧（英語）
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