列福

列福についての詳細

基本概念

列福（れっぷく）とは、カトリック教会において、特定の人物が生前に示した徳と聖性を評価され、聖人の一歩手前である福者（Beatus）に認定されるプロセスを指します。この儀式は、キリスト教徒において、神に近い存在として敬意を表されることにつながります。

列福のプロセス

列福の手続きはローマ教皇庁によって進められます。まず、列福を希望する人物が生前に証明された聖性をもっていると考えられる場合、彼らの死後に列福の申請が行われます。最初の調査は、その人物が生活した教区の司教によって行われ、ここで彼らの徳と聖性が評価されます。これが認められると、ローマ教皇庁の列聖省に資料が送付され、そこでさらに詳しい調査と審議が行われます。

特に1831年以降、列福には最低でも1件の奇跡が必要とされています。これは、列福される人物が神の取り計りによって特別な存在であることを示すためです。ただし、殉教者の場合は例外とされ、奇跡が必ずしも必要ではありません。

すべての調査が終わり、教会がその人物を福者として認めると、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂で正式に列福が宣言されます。この列福式は主にバチカンで行われますが、1981年にフィリピンのマニラで行われたロレンソ・ルイスの列福式は例外です。ルイスは日本で殉教したフィリピンのキリスト教徒で、彼が福者に列せられることは特に意義深いものでした。

福者の記念日

列福された福者は、通常、命日を記念日として持ちます。ただし、福者が聖人に昇格される場合、さらに厳密な調査が行われることがあります。この昇格により、彼らは教会のカレンダーにおいてより高い位置づけとなります。

中世における列福

かつての中世においては、一部の列福は司教の権限により行われていましたが、それらの中には現在の基準からすると疑問視されるものも存在します。たとえば、カール大帝は、彼の死後すぐに宮廷付司教によって列福されたものの、その後、聖人としては列せられませんでした。今日でも、特定の場所でのミサは許可されていますが、「福者」としての称号は与えられていません。

正教会との違い

正教会においても「福者」と呼ばれる称号が存在しますが、これは聖人の特定の称号であり、カトリック教会の福者とは区別されるべきです。

日本における列福

日本では、列福の実例がいくつかあります。まず、2008年11月24日には長崎県で、日本初の列福式が行われました。この際、ペトロ岐部と、江戸時代に日本各地で殉教した188人が福者となりました。

また、2017年2月7日には大阪で、高山右近の列福式が行われ、彼が福者に認定されました。これらの列福式は、日本におけるカトリックの歴史において重要な出来事となっています。

もう一度検索