アロウズ・A10

アロウズ・A10の概要

アロウズ・A10（Arrows A10）は、1987年および1988年のF1世界選手権に参加するためにアロウズが開発したフォーミュラ1カーです。この車両は、著名なエンジニアロス・ブラウンの設計によって作られ、最も高い成績は3位となっています。

開発の背景

1986年、BMWがエンジン供給を停止することを発表したため、アロウズは新たなエンジン供給源を模索しました。メインスポンサーのUSF&Gと協力し、メガトロンブランド名の下で直列4気筒エンジンを供給されることが決まりました。このエンジンはスイスのエンジンチューナー、ハイニー・マーダーによってメンテナンスが行われ、アロウズはBMWとは一切関わっていませんでした。

ドライバーは、長年在籍していたティエリー・ブーツェンからデレック・ワーウィックへ交代し、アメリカン・ドライバーのエディ・チーバーとペアを組みました。こうして、エクスペリエンス重視のドライバー選考が進められました。

1987年シーズン

1987年は、前年のサブスポンサーであったUSF&Gがメインスポンサーとなり、チームのカラーは明るい白へと一新されました。新型A10は前型A9を受け継がずに設計され、ロス・ブラウンが手がけたハース・ローラ・THL2に似た低いスタイルを持っています。特に、エンジンカウルの低さやロールバーのデザインが注目されました。

ドライバーたちはコーナリング性能についても高く評価しており、ワーウィックは「シャシーは良好だが、エンジンにはもう少し頑張ってほしい」とコメント。チーバーも「シャシーは完璧で、本当に素晴らしいハンドリングだ」と述べ、A10のパフォーマンスに高い期待を寄せていました。

デトロイトGPでは、チーバーが素晴らしい予選成績を収め、決勝でもコンペティターたちと競り合う力強い走りを見せました。さらに、イタリアGPに向けた準備として、2.5バール仕様のターボエンジンでのテストも行いました。メキシコGPでは、ワーウィックがクラッシュしたものの、A10の頑丈なカーボンモノコックが安全を保ちました。

1988年シーズン

1988年シーズンでは、多くのチームが自然吸気エンジンに切り替える中、アロウズはメガトロン・ターボエンジンを搭載したA10Bで参戦しました。フロントウィングのデザインはベネトンに似ており、シーズンの開幕戦ブラジルGPでは好調な成績を収めました。

しかし、一部のコースでは燃費の影響を受け、競合他社と比較して性能差が大きくなる場面もありました。それでも、技術的に難しいコースでの展開は、ワーウィックとチーバーのダイナミックなバトルを生み出し、観客を魅了しました。

イタリアGPでは、両ドライバーが好成績を収め、ワーウィックは315.49 km/hのトップスピードを記録。シーズンを通じて両者は高い評価を得て、ワーウィックは8位、チーバーは12位のドライバーズランキングに輝きました。

結論

アロウズ・A10は、そのデザインと性能から多くの注目を集め、特に1987年と1988年の両シーズンで記録的な成績を残しました。それは、ドライバーの才能やチームの努力が合わさった結果と言えるでしょう。

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