アワード (アマチュア無線)

アマチュア無線のアワードについて

アマチュア無線におけるアワードとは、交信（QSL）や傍受（SWL）を行ったアマチュア局に対して、その実績を証明するために発行される認定証のことです。交信した地域や局数など、アワードごとに定められた条件を満たすことで、発行団体から授与されます。

アワードの概要

アワードは、各国のアマチュア無線団体をはじめ、クラブや個人、出版社、新聞社など、さまざまな組織や個人が発行しています。アマチュア無線家にとって、アワードの取得は長期的な目標や楽しみの一つとなっており、無線活動のモチベーションを高める要素として重要な役割を果たしています。

アワードを取得するためには、まず発行者が定めた条件に合致する交信や傍受を成功させる必要があります。その後、必要な情報を添えて発行者へ申請を行います。申請の際には、通常、申請料が必要となります。

かつては、交信や傍受の証明として、相手局が発行したQSLカードやSWLカードの受領が必須条件となる場合が多くありました。しかし近年では、JARL（日本アマチュア無線連盟）が主催するコンテストアワードのように、QSLカードなどを必要としないケースも増えています。

アワード取得の難易度を上げる要因として、交信や傍受が難しい地域との通信を達成する必要があることが挙げられます。そのため、無線家は送信・受信設備の強化を図ったり、自ら移動運用を行うなど、さまざまな工夫を凝らしてアワードの取得に励んでいます。

アワードには、交信や傍受時の周波数、電波形式、空中線電力などの条件が特記事項として付加される場合があります。これらの条件が厳しいほど、アワードの取得難易度は高くなります。また、アワードの発行番号1番を取得することは、無線家にとって非常に名誉なこととされています。

アワードの規約

アワードの規約は、アワードごとに細部が異なります。ここでは、一般的な規約について解説します。ただし、時期によって規約が変更される場合があるため、申請時には必ず最新の規約を確認するようにしてください。

運用場所の制限

移動運用を行うことで容易に達成できるアワードの場合、公平性を保つために運用場所が制限されることがあります。運用場所は自己申告制であり、相手局や第三者による証明は必要ありません。QSLカードには自局の運用場所のみを記入し、相手局の運用場所の記入は不要です。

交信日の有効期間

交信日が有効となるのは、その国や地域でアマチュア無線が法制上認められた日、発行団体の設立日、規約制定日など、特定の日以降となります。

QSLカードの審査

QSLカードの審査方法には、以下の3つの方法があります。

発行者への提出: 申請書にQSLカードを同封し、発行者が内容を確認します。
所持証明書: 他のアマチュア無線家やクラブなどの第三者がQSLカードを所持していることを証明する書類を添付します。この証明はGCR（General Certificate Rule）と呼ばれます。
自己宣誓: 申請書の宣誓欄で、QSLカードを所持していることを宣誓します。

各国のアワード

日本のアワード

日本アマチュア無線連盟（JARL）が発行する代表的なアワードには、以下のようなものがあります。

AJD: 国内の10のコールエリア（総合通信局管轄地域）の各1局と交信
WAJA: 国内の47都道府県の各1局と交信
JCC: 国内の異なる市（100～800市まで100刻み）と交信。全市交信完了でWACAとなる。
JCG: 国内の異なる郡（100～500郡まで100刻み）と交信。全郡交信完了でWAGAとなる。
WAKU: 政令指定都市の全行政区と交信
AJA: 2つ以上のアマチュアバンドを使用して、国内の異なる1000局と交信
WARC-1000: WARCバンド（10、18、24MHz）で異なる1000局と交信
ADXA: アジア州の異なる30エンティティと交信
WASA: 異なるスクエア（グリッド・ロケーターの先頭4桁）100局と交信

JARL以外にも、以下のようなアワードが存在します。

JARL全日本10,000局アワード、JARL全世界10,000局アワード: 日本または全世界の10,000局と交信。47都道府県、7大陸、ITUゾーン、DXCCエンティティなど、非常に厳しい条件が設定されています。
道の駅アワード: 道の駅での移動運用局との交信
湯けむりアワード: 温泉地での移動運用局との交信
綴り字を用いたアワード: コールサインの末尾の文字で、行事名や地域の特産などに関する単語を綴る
岡山市全区交信賞: 岡山市内各行政区で運用する局との交信
岡山県31交信賞: 岡山県内で運用する31局との交信

アメリカ合衆国のアワード

DX Century Club (DXCC): 世界の100エンティティ以上の無線局と交信。アメリカ無線中継連盟（ARRL）が発行。
Worked All States (WAS): 米国50州の無線局と交信。ARRLが発行。
Worked All Continents (WAC): 世界の6大陸の無線局と交信。国際アマチュア無線連合（IARU）が発行。
Worked All Zones (WAZ): 世界を40のCQゾーンに区切り、全てのゾーンの無線局と交信。CQ Amateur Radioが発行。

イギリスのアワード

* IOTA (Islands on the Air): 世界の100島以上と交信。英国アマチュア無線連盟（RSGB）が発行。

アワードは、アマチュア無線の世界をより深く楽しむための魅力的な要素の一つです。ぜひ、さまざまなアワードに挑戦し、無線技術の向上や新たな発見につなげてみてください。

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