交信

交信とは

交信とは、無線通信において信号のやり取りを行う行為を指します。アマチュア無線の世界では、Q符号に由来する「QSO」という言葉もよく用いられます。プッシュ・ツー・トーク方式で送受信を切り替える際、日本語では「どうぞ」、英語では「over」、電信では「K」を末尾に付けるのが一般的です。

アマチュア無線における交信

アマチュア無線では、交信を証明するQSLカードが重要な役割を果たします。また、アマチュア局の免許を持たないSWL（受信者）が、交信を傍受して報告書を送り、アマチュア局からその内容を証明する書類を受け取ることもあります。

交信の形態

• - CQ呼び出し: 特定の相手を定めずに行う呼び出しです。CQの後に地域名やDX（遠距離通信）を付加することで、交信したい相手の範囲を絞ることができます。どの周波数帯でも行われますが、特にCQ呼び出しが多い周波数帯も存在します。開始前には、使用する周波数が他局に使われていないか、混信や妨害を与えないかを十分に確認する必要があります。
• - 特定局の呼び出し: 特定の相手局のコールサインを指定して呼び出す方法です。周波数帯によっては、呼び出し専用の周波数（メインチャンネル）が設定されており、応答があれば別の周波数（サブチャンネル）に移動して交信を行います。中継局を用いる場合も同様です。呼び出し周波数が無い場合は、事前に周波数を決めておく必要があります。また、トーンスケルチ機能を使うことで、特定の局からの呼び出しのみを受信することも可能です。
• - オンエアミーティング、ロールコール: 複数の局が同じ周波数で交信に参加する形態です。キー局にあらかじめ参加の意思表示（チェックイン）を行い、キー局の指示に従って応答します。
• - ラグチュー: いわゆる雑談のことです。仲間同士の会話はもちろん、初対面の相手とも話題が広がることがあります。ただし、他の交信希望局や妨害に注意する必要があります。144MHz帯や430MHz帯では、送信前に「了解」と発信し、他局の割り込みが無いか確認する習慣があります。
• - スプリット運用: 特に海外局との交信で、多数の応答が予想される場合や、送信と受信の周波数が異なる場合に行われる運用方法です。送信と受信を異なる周波数で行います。

交信の内容

交信成立の最低条件は、相手局のコールサインとRSTレポート（電話の場合はRSレポート）の交換です。RSTレポートは、相手局の信号の状況を3桁の数字で表し、R（了解度）、S（信号強度）、T（音調）をそれぞれ1～5、1～9、1～9の数値で評価します。電話の場合、RとSの2桁で表し、59を「ファイブナイン」と読むのが正しいです。

初対面の交信では、運用場所、氏名またはハンドルネーム、使用機材、天気や気温なども交換されることが多いです。これらの必要最小限の内容をまとめた定型文を用いた交信をラバースタンプQSOと呼びます。特に、英語を母語としない局同士の欧文電信では、詳細な意思疎通が難しいため、ラバースタンプQSOやレポート交換のみで終わることが多いです。一方、電話や母語による電信では、より自由な話題が展開されます。

交信に用いる用語

交信にはQ符号をはじめとする無線用語が用いられます。また、コールサインや重要な情報を伝える際には、聞き間違いを防ぐためフォネティックコードを使用します。

船舶における交信

海岸局と船舶間の交信（電信）には、一定の書式があります。和文では、種類、字数、発信局、番号、受付時刻、特別取扱、局内心得、名あて、本文の順に記述し、欧文ではPreamble、To、Textの順に記述します。

航空における交信

航空無線では、航空機が目的地へ移動する間に通信を行う機関が変化するため、通信の移管（ハンドオフ）が必要になります。交信内容は、管制承認、誘導路走行指示、離陸許可、飛行中の指示、管制圏進入許可、着陸許可、着陸後の誘導路走行指示など多岐に渡ります。また、返信不要な情報提供や全局に向けた情報提供も行われます。

関連事項

• - プッシュ・ツー・トーク
• - QSLカード
• - RSTコード
• - 無線用語
• - コンテスト (アマチュア無線)
• - NATOフォネティックコード

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