アンクス・マルキウス

アンクス・マルキウス：ローマ発展に貢献した謎多き第4代王

紀元前7世紀、ローマ[[王]]政時代の第4代王として君臨したアンクス・マルキウス。その生涯は謎に包まれており、史料の不足から伝説的な側面も持ち合わせています。しかし、ローマの都市基盤整備や軍事面での手腕から、ローマ発展に多大な貢献をした王であることは間違いありません。

サビニ系ローマ[[王]]の誕生と平和への期待

アンクス・マルキウスは、サビニ人であり、第2代ローマ[[王]]ヌマ・ポンピリウスの孫でした。当時、ローマではラテン人とサビニ人が交互に王位を継承するという慣習がありました。そのため、ラテン人である第3代王トゥッルス・ホスティリウスの死後、平和を愛したヌマ・ポンピリウスの血を引くアンクスが王に選出されたのです。トゥッルス・ホスティリウスの好戦的な治世に疲れたローマ市民にとって、アンクスは平和な時代をもたらす救世主として期待されたと言えるでしょう。

戦場で輝いた軍事力

しかし、近隣部族はアンクスを「戦争が苦手な王」と見下し、侵略を開始しました。アンクスは平和主義者という予想を裏切り、優れた軍事指揮能力を発揮。フェデナイ人、アニオ川中流のサビニ人、カンパニア地方のウォルスキ人との戦いで勝利を収め、周辺都市を征服下に置きました。征服した都市の住民はローマへ強制移住させられ、ローマの人口増加に貢献しました。また、北方のエトルリア人からの侵攻に備え、ヤニクルムの丘に要塞を築き、防衛体制を強化しました。さらに、ローマから26km離れた漁村オスティアを征服し、ローマの外港として整備することで、貿易や経済活動を活性化させたのです。

平時の治世とローマインフラ整備

アンクスは軍事面だけでなく、平時の治世においても優れた手腕を発揮しました。征服によって増加した人口に対応するため、アウェンティヌスの丘をローマ市街地に編入。また、それまでいかだ橋しかなかったテヴェレ川に初めて堅固な橋を架け、交通の利便性を向上させました。そして、ローマにおける画期的な事業として、水道橋を建設し、初めてローマに水道水を供給することに成功しました。これらのインフラ整備は、ローマの都市発展に大きく貢献しました。さらに、宗教儀式や宣戦布告の手順を制定するなど、ローマの政治・社会制度の整備にも尽力しました。

王位継承と悲劇的な末路

アンクス・マルキウスは紀元前616年に病死しました。彼の息子たちは、後見人であったエトルリア人のタルクィニウス・プリスクスによって王位を奪われました。しかし、彼らはタルクィニウス・プリスクス暗殺を企てたものの失敗し、悲惨な最期を遂げたと言われています。

アンクス・マルキウスの遺産

アンクス・マルキウスの治世は、ローマの都市発展、軍事力強化、そして政治・社会制度の整備において重要な時代でした。彼の功績は、後世のローマ人によって高く評価され続け、紀元前144年には、マルキウス家によって「マルキア水道」が建設されました。このマルキウス家は、アンクス・マルキウスの末裔を自称していたと言われています。アンクス・マルキウスは、史料が乏しく謎多き人物ですが、ローマ発展に大きく貢献した重要な王であったことは間違いありません。彼の生涯は、ローマの歴史における重要な一章を飾るものと言えるでしょう。

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