アンクルモー

アンクルモー (Uncle Mo)

アンクルモーは、アメリカ合衆国で生まれた競走馬であり、種牡馬としても活躍しました。2008年3月10日に誕生し、2024年12月19日に16歳でその生涯を閉じました。馬名の由来は、スポーツ用語の「Momentum（勢い）」からきています。

現役時代

2009年のキーンランド・イヤリングセールにおいて、マイク・リポールによって22万ドルで落札されました。2010年8月にトッド・プレッチャー厩舎からデビューし、初戦で2着馬に14馬身1/4差をつける圧勝劇を演じました。その圧倒的な勝利を受けて、プレッチャー調教師は次走にシャンペンステークス、そしてブリーダーズカップ・ジュヴェナイルへのローテーションを発表しました。

シャンペンステークスでは、過去30年で2番目に速いタイムとなる1分34秒51を記録し、GI初制覇を果たしました。続くブリーダーズカップ・ジュヴェナイルでは、ホープフルステークス勝ち馬であるボーイズアットトスコノヴァに4馬身1/4差をつけて快勝し、無傷の3連勝で2歳シーズンを終えました。この活躍により、エクリプス賞最優秀2歳牡馬の投票では、238票中236票という圧倒的な支持を得て選出されました。

3歳初戦のリステッド競走も快勝しましたが、次戦のウッドメモリアルステークスでは圧倒的な1番人気に支持されながらも3着となり、初めての敗北を喫しました。その後、γ-グルタミルトランスフェラーゼの値に異常が見られたため、アメリカクラシック三冠への出走を断念し、休養に入りました。

8月末のキングズビショップステークスで復帰しましたが、ハナ差の2着となりました。G2ケルソハンデキャップを制して臨んだブリーダーズカップ・クラシックでは10着と大敗し、レース後、γ-グルタミルトランスフェラーゼの値が著しく上昇していることが確認されたため、現役引退が発表されました。引退に際し、プレッチャー調教師は「2歳時の走りは今まで見たどの馬よりも素晴らしかった」と賞賛しました。

競走成績

現役時代の主な競走成績は以下の通りです。

2歳時:
シャンペンステークス (GI)
ブリーダーズカップ・ジュヴェナイル (GI)

種牡馬時代

2012年からアッシュフォードスタッドで種牡馬としての供用が開始されました。初年度の種付け料は3万5000ドルに設定されました。2歳時の輝かしい実績に加え、米国の主流血統であるミスタープロスペクターやエーピーインディの血を持たない貴重な種牡馬として高い人気を集めました。

初年度産駒は2015年にデビューし、その中の1頭であるナイキストがブリーダーズカップ・ジュヴェナイルを制覇し、父子制覇を達成しました。これにより、アンクルモーは新種牡馬としてだけでなく、北米全体での2歳リーディングサイアーに輝きました。ナイキストは翌2016年にはケンタッキーダービーも制覇し、アンクルモーの種牡馬としての評価をさらに高めました。2016年に7万5000ドルだった種付け料は、2017年には15万ドルまで高騰しました。

しかし、2世代目以降からはナイキストに続くような大物産駒はまだ現れておらず、2018年の種付け料は12万5000ドルへと減額されました。アンクルモーの産駒は、自身と同様に仕上がりが早く、2歳戦で強さを発揮する傾向があります。

2024年12月19日、左前足の怪我により安楽死の措置が取られました。16歳でした。

主な産駒

アンクルモーの主な産駒には、以下の競走馬がいます。

2013年産:
ナイキスト (Nyquist) - 2016年ケンタッキーダービー、フロリダダービー、2015年ブリーダーズカップ・ジュヴェナイルなど
ゴモ (Gomo) - 2015年アルシバイアディーズステークス
アウトワーク (Outwork) - 2016年ウッドメモリアルステークス
アンブライドルドモー (Unbridled Mo) - 2018年アップルブロッサムハンデキャップ
2014年産:
モータウン (Mo Town) - 2017年ハリウッドダービー
2015年産:
ドリームツリー (Dream Tree) - 2017年ハリウッドスターレットステークス
2016年産:
モーフォルツァ (Mo Forza) - 2019年ハリウッドダービー
2017年産:
バスト (Bast) - 2019年デルマーデビュータントステークス、スターレットステークス、シャンデリアステークス
ヤウポン (Yaupon) - 2021年フォアゴーステークス
2018年産:
ゴールデンパル (Golden Pal) - 2021年ブリーダーズカップ・ターフスプリント
2019年産:
モードニゴール (Mo Donegal) - 2022年ベルモントステークス
アモーレイ (A Mo Reay) - 2023年ビホルダーマイルステークス
アデアマナー (Adare Manor) - 2023年クレメント・L・ハーシュステークス、2024年アップルブロッサムハンデキャップ、クレメント・L・ハーシュステークス
2020年産:
アレイビアンナイト (Arabian Knight) - 2023年パシフィッククラシック
キングズバーンズ (Kingsbarns) - 2024年スティーブンフォスターステークス

母の父としての主な産駒

アンクルモーは母の父としても優秀な産駒を輩出しています。

2019年産:
ウィルソンテソーロ - 2023年かきつばた記念、マーキュリーカップ、白山大賞典、2024年JBCクラシック（父: キタサンブラック）
2020年産:
ゴーロケットライド / Geaux Rocket Ride - 2023年ハスケルステークス（父: Candy Ride）
2021年産:
ムース / Muth - 2023年アメリカンファラオステークス、2024年アーカンソーダービー（父: Good Magic）
ソーピードアンナ / Thorpedo Anna - 2024年ケンタッキーオークス、エイコーンステークス、CCAオークス、コティリオンステークス、ブリーダーズカップ・ディスタフ（父: Fast Anna）
ハワードウォロウィッツ / Howard Wolowitz - 2024年フランクリンシンプソンステークス(父:Munnings)



アンクルモーは競走馬として、そして種牡馬として、その卓越した才能を競馬界に刻みました。彼の血を受け継ぐ馬たちが、今後も競馬界を盛り上げていくことが期待されます。

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