アンコン (揚陸指揮艦)

USSアンコン(AGC-4)：第二次世界大戦で活躍した揚陸指揮艦

USSアンコン(AGC-4)は、第二次世界大戦中にアメリカ海軍で運用された遠洋定期船であり、後に揚陸指揮艦へと改造され、ヨーロッパ戦線と太平洋戦線で重要な役割を果たしました。

誕生と初期の活動

1938年9月24日、アンコンはマサチューセッツ州クインシーのベスレヘム・スチール社フォアリバー造船所で進水し、ハリー・ウードリング陸軍長官夫人によって命名されました。1939年6月22日からは、パナマ地峡鉄道の貨客船としてニューヨーク市とパナマ運河地帯のクリストバル間を往来しました。

軍への移管と地中海での戦い

1942年1月11日、アンコンはUSATアンコンとしてアメリカ陸軍輸送部に移管され、オーストラリア防衛強化のため派遣されるアメリカ陸軍航空隊や第32歩兵師団の部隊を輸送する船団に加わりました。同年8月7日には海軍に移管され、ボストン海軍工廠でUSSアンコン(AP-66)として就役。改装後、貨物と兵員を輸送する任務に就き、10月24日には大西洋艦隊水陸両用部隊の一員として東海岸を離れました。

1942年11月8日、アンコンはフランス保護領モロッコのモハメディア沖に到着し、上陸作戦を開始。他の輸送船が沈没する中、救援活動にもあたりました。その後、ニューヨークでの修理を経て、アルジェリアへの兵員と貨物輸送に従事。1943年2月13日には大西洋艦隊水陸両用部隊に配属され、揚陸指揮艦への改装を受け、USSアンコン(AGC-4)となりました。

1943年7月にはハスキー作戦に参加し、シチリア沖で上陸作戦を支援。その後もイタリア本土侵攻作戦に参加するなど、地中海戦線で重要な役割を果たしました。

ノルマンディー上陸作戦

1944年6月6日、アンコンはオーバーロード作戦、すなわちノルマンディー上陸作戦において、オマハ・ビーチに上陸する部隊の旗艦を務めました。上陸作戦中は、海上および陸上の部隊に対し指示を出し、作戦の成功に貢献しました。

太平洋戦線と日本の降伏

1944年末、アンコンは太平洋戦線に投入され、沖縄戦に参加。上陸部隊の指揮を支援しました。1945年8月15日の日本の降伏後、アンコンは東京湾に進出し、降伏文書調印式では戦艦ミズーリとサウスダコタの間に位置し、歴史的な瞬間の目撃者となりました。

戦後とその後

戦後、アンコンは戦略爆撃調査団の旗艦として活動した後、1946年に退役。その後、連邦海事局に移管され、航海訓練船として使用された時期もありましたが、最終的にはスクラップとして処分されました。

アンコンは、第二次世界大戦において、輸送船、揚陸指揮艦として多岐にわたる任務をこなし、数々の重要な作戦に参加したことで、その名誉を歴史に刻みました。

受勲

戦闘行動リボン
アメリカ従軍章
ヨーロッパ・アフリカ・中東従軍章
アジア・太平洋従軍章
第二次世界大戦戦勝章
海軍占領従軍章
フィリピン独立章
フィリピン解放章

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