アンゴラ民族解放戦線

アンゴラ民族解放戦線（FNLA）とは

アンゴラ民族解放戦線（FNLA）は、ポルトガルからのアンゴラ独立を目指して1962年に設立された組織です。創設者はホールデン・ロベルトであり、当初はジョナス・サヴィンビが外相を務めました。1992年には政党として再編され、総選挙で議席を獲得するなど、アンゴラの政治に影響を与えました。

歴史的背景

FNLAの前身は、1956年にコンゴ族を中心に結成されたアンゴラ北部人民同盟（UPNA）です。UPNAはアンゴラ人民同盟（UPA）と改名後、1961年にアンゴラ独立戦争が始まると、武装蜂起し、無差別な虐殺を行いました。蜂起後、UPAはザイールに拠点を移し、モブツやアメリカの支援を受け、FNLAとして再編されました。FNLAはレオポルドヴィルに亡命アンゴラ政府を樹立しましたが、MPLAとの対立が激化し、MPLAはブラザヴィルへ本部を移転しました。

FNLAはコンゴ族を優遇する傾向が強く、部族主義的な体質が問題視されました。1964年には、ジョナス・サヴィンビが離反し、アンゴラ全面独立民族同盟（UNITA）を結成しました。MPLAがポルトガル植民地政府と激戦を繰り広げる一方で、FNLAはザイールとの国境地帯に兵力を固め、ポルトガル軍との直接的な戦闘を避ける傾向にありました。

ポルトガル革命とアンゴラ内戦

1974年のポルトガル革命後、FNLAはMPLA、UNITAと共にアルヴォール協定を結び、暫定政権の設立で合意しました。しかし、1975年にFNLAとMPLAはルアンダで衝突し、UNITAと同盟したFNLAはMPLAと敵対しました。ザイール軍や南アフリカ防衛軍の介入を得たFNLA＝UNITA連合は、キューバ軍の介入を得たMPLA軍に破れ、アンゴラの独立後も内戦が続きました。

MPLA政権はFNLAやカビンダ解放戦線（FLEC）を攻撃する一方で、FNLAとFLECを支援していたザイールやフランス、中国との国交を正常化し、FNLAとFLECの勢力は著しく減少しました。

外国との関係

FNLAは、コンゴ族の多いアンゴラ北部に基盤を置き、アンゴラ独立戦争中はザイール、アメリカ、エジプト、ガーナ、イスラエル、フランス、ルーマニア、中国など、多くの国々から支援を受けました。特にアメリカは、FNLAとUNITAに資金援助を行い、フランスは軍事顧問を派遣し、中国は軍事支援を行いました。また、FNLAのメンバーは南アフリカ防衛軍第32大隊や南西アフリカ警察対不正規戦部隊の黒人隊員の多くを構成していました。

参考文献

青木一能「第6章アンゴラ情勢とナミビア独立問題」『フロントライン諸国と南部アフリカ解放』林晃史編、アジア経済研究所、1984年3月。
神戸育郎「第七章アンゴラ革命」『世界の革命』革命史研究会編、十月社、1987年2月。
星昭、林晃史『世界現代史13──アフリカ現代史I 総説・南部アフリカ』山川出版社、1978年12月。

関連項目

ホールデン・ロベルト
* ルアンダ裁判（Luanda Trial）

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