アントニー・アシュリー＝クーパー (初代シャフツベリ伯爵)

初代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパー

概要

初代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパー（1621年-1683年）は、17世紀のイングランドにおける著名な政治家です。彼は特に、共和政とチャールズ2世の時代において大きな影響力を持ちながら、宗教的な対立や政治的な闘争に深く関与しました。ジョン・ロックの支援者でもあり、彼の思想の普及にも寄与しました。

時代背景

アシュリーが活動をした17世紀のイングランドは、政治的に不安定な時代でした。清教徒革命（1642年）や名誉革命（1688年）といった重大な出来事が続き、特に1679年のカトリック陰謀事件では、彼が主導的な役割を果たしました。この時期、農村社会から産業社会への移行が進む中で、宗教的対立も激化していました。

人物像

アシュリーは、演説やパンフレットを通じて民衆を動かす能力に長けていました。彼は妥協を拒否し、特にカトリックに対しては一切の譲歩をしませんでした。この姿勢が、彼の政治活動における特色の一つであり、後のホイッグという政治思想的潮流の形成にも寄与しました。

生涯

幼年期

アシュリーは1621年に、歴史ある家に生まれました。ピューリタンの影響を受けて育ち、若い頃から非国教会プロテスタントの思想を色濃く受け継いでいました。彼はオックスフォード大学で学び、政治的な基盤を築いていきます。

イングランド内戦

1640年には下院議員に選出され、内戦が激化する中で、王党派から議会派に鞍替えしました。彼の行動は、内戦の流れに大きな影響を与えましたが、その後の政治での発言権は限定的でした。

共和政・護国卿時代

彼はイングランド共和国の議会に迎え入れられるものの、アシュリーは自身の立場を維持するのに苦労しました。オリバー・クロムウェルの死後の混乱の中で、再び政治の中心に登場し、最終的にはチャールズ2世の元に復帰しました。

カバルと王位継承問題

アシュリーは、「カバル」と呼ばれる政権グループの一員として、重要な役割を果たしました。この頃、王位継承問題が浮上し、彼は積極的に発言しましたが、内部での権力闘争に巻き込まれていきます。

野党への転落

アシュリーは次第に政治的影響力を失い、特にカトリック陰謀事件による反カトリックの雰囲気の中で、彼の立場は困難な状況に置かれました。彼はロンドンでの蜂起を計画するも、失敗し、最終的にはオランダに亡命することを余儀なくされました。

最期と評価

亡命先で彼は体調を崩し、1683年に死去します。彼の死後、アシュリーの政治的な影響力や彼が追求した自由や市民権への思いは評価されましたが、一方で「日和見主義者」としての批判も根強く残ります。彼の行動と思想は、後のイギリス政治に多大な影響を与えたとされています。

結論

初代シャフツベリ伯爵アントニー・アシュリー＝クーパーの生涯は、17世紀の政治における動乱と対立を象徴しています。彼の遺した思想や活動は、多くの後世の政治家や思想家にも影響を与え、今日に至るまでその評価が続いています。

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