アンドリュー・パウエル

アンドリュー・パウエル：多才な音楽家の軌跡

アンドリュー・パウエル（Andrew Powell、1949年4月18日 - ）は、ウェールズ人の両親のもとに生まれたイギリスの作曲家、編曲家、パフォーマーです。2003年にウェールズへ移住し、現在も音楽活動を続けています。

生い立ちと音楽との出会い

イングランドのサリー州で生まれたパウエルは、4歳でピアノを始めました。その後、キングス・カレッジ・スクールでヴィオラ、ヴァイオリン、オーケストラのパーカッションも習得。11歳で作曲を始め、ドイツのダルムシュタットでカールハインツ・シュトックハウゼンやリゲティ・ジェルジュに師事し、ケンブリッジ大学キングス・カレッジで音楽修士号を取得しました。

ケンブリッジ在学中には、エレクトロニック音楽グループ「インターモジュレーション」に参加。また、フレッド・フリスとティム・ホジキンソンが結成したプログレッシブ・ロック・グループ「ヘンリー・カウ」では、ベースとドラムを担当しました。

プロとしてのキャリア

ケンブリッジを離れた後、1970年8月にロンドンで開催されたBBCプロムスで、テリー・ライリーの「Keyboard Studies」を演奏し、プロとしての活動をスタートさせました。その後、コヴェント・ガーデン、ロンドン交響楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団など、数々のオーケストラと共演。BBC交響楽団ではピエール・ブーレーズとも共演しました。また、セッション・プレイヤーとして、「Come to the Edge」というグループを結成し、日本の打楽器奏者、ツトム・ヤマシタとも共演しています。

編曲家としてのキャリアは、コックニー・レベルのデビュー・アルバムから始まり、レオ・セイヤー、ジョン・マイルズ、ドノヴァン、クリフ・リチャード、アル・スチュワート、アンブロージア、デヴィッド・ギルモアなど、多くのアーティストの作品を手がけました。

アラン・パーソンズ・プロジェクトでは、最初期のアルバムからアレンジャー、指揮者、作曲家として参加し、グループ解散後もアラン・パーソンズとの協働を続けました。1983年には、アラン・パーソンズ・プロジェクトの楽曲を集めたオーケストラ・アルバムを制作しています。

ケイト・ブッシュの初期のデモテープとデビュー・アルバム『天使と小悪魔』（1978年）のプロデュースも担当し、その後、彼女の2枚目のアルバム『ライオンハート』（1978年）もプロデュースしました。

その他、クリス・デ・バー、ニック・ヘイワード、マイケル・クロフォード、エレイン・ペイジ、カンサスなど、様々なアーティストと共演しています。

映画音楽の分野でも、『レディホーク』や『ジブラルタル号の出帆』などのサウンドトラックを作曲し、多くの映画やテレビプロジェクトに貢献しました。また、世界中のオーケストラやアンサンブルを指揮しています。

近年の活動

近年では、ワウター・ヴァン・ベルの「Wow & Flutter」の編曲と指揮、ブラスバンドへの楽曲提供、ジョン・ウォレスとのアルバム制作など、幅広い活動を展開しています。

2007年には「Living Stones」が、2008年には「Glasiad y dydd dros Ben Dinas」が初演されました。また、約30年ぶりに映画音楽制作に復帰し、SF短編映画のオリジナル音楽を作曲しました。

現在、パウエルは北ペンブルックシャーで、音楽、言葉、視覚芸術を推進するブルーストーンアーツの芸術監督を務めています。

ウェールズへの移住

ウェールズ語の学習をきっかけに、2003年にウェールズへ移住。現在では、流暢なウェールズ語を話せるようになったそうです。

アンドリュー・パウエルの音楽への情熱と多才な才能は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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