アンドレアス・バーダー

アンドレアス・バーダー：狂騒のテロリスト

アンドレアス・バーダー（Andreas Baader、1943年5月6日 - 1977年10月18日）は、西ドイツのテロリストであり、極左武装組織「ドイツ赤軍」（RAF）の創設者、そして指導者の一人として悪名を馳せました。

生い立ちと初期の活動

ミュンヘンで生まれたバーダーは、中流階級の歴史学者を父に持ちましたが、2歳の時に父がソ連で戦死したため、母と叔母たちに甘やかされて育ちました。青年期には、性的衝動が強く、車を猛スピードで運転するなど、粗暴な一面を見せていました。20歳でベルリンに移り住んだ彼は、女流画家との同棲生活で子供をもうけますが、翌年にはグドルン・エンスリンと出会い、恋に落ち、妻子を捨ててフランクフルトへと旅立ちます。エンスリンを通じて、彼はドイツ社会主義学生連盟の左翼的戦闘集団に引き込まれ、政治活動に身を投じ始めます。

1968年、バーダーはエンスリンらとともにデパートに焼夷弾を仕掛けた罪で逮捕され、3年の禁固刑を言い渡されます。14ヶ月の服役後、仮釈放された彼はフランスに逃亡しますが、間もなくベルリンに戻り、1970年に再逮捕されます。同年5月には仲間の手引きによって脱獄し、中東のレバノンでパレスチナ解放人民戦線（PFLP）の訓練施設で戦闘訓練を受けました。しかし、アラブ人との関係は良好ではなかったとされています。

ドイツ赤軍の結成とテロ活動

ベルリンで「ドイツ赤軍」が再建されると、バーダーは資金確保のために銀行強盗を繰り返しました。1971年からは警察官の殺害、1972年5月には西ドイツ各地で連続15件の爆破事件を引き起こしました。

1972年6月1日、フランクフルトでバーダーは仲間と共に赤軍の爆弾製造工場にいたところを警察に包囲され、銃撃戦の末、膝を撃ち抜かれて逮捕されました。シュトゥットガルトのシュタムハイム刑務所に収監されたものの、弁護士で赤軍シンパのクラウス・クロワッサンとジークフリート・ハークが、組織の後継者となる「第二世代」のメンバーの勧誘と訓練を行い、獄中の「第一世代」と面会を続け、その声明をマスコミや支援者に伝えていました。獄中でバーダーたちは、激しい獄中・法廷闘争を展開し、大規模なハンガーストライキを繰り返しました。また、1975年にはドイツ赤軍第二世代のメンバーが、政治家ペーター・ロレンツの誘拐事件、ストックホルムの西ドイツ大使館占拠事件などを起こしました。

獄中での死

1977年、バーダーたちは終身刑を宣告されます。彼らを釈放させるために、同年10月にはパレスチナ・ゲリラがルフトハンザ航空181便ハイジャック事件を起こしましたが、失敗に終わりました。この事件をラジオで聞いたバーダーは、もう1人の仲間と共に獄中で拳銃自殺を遂げました。厳重な警備体制の刑務所で、どのようにして拳銃を入手できたのかは謎のままで、公式見解では弁護士が持ち込んだとされていますが、国家権力による「法的手続きのない処刑」であるという陰謀論も存在します。

人物像

バーダーは、少年時代から父親のいない家庭で育ち、知的でカリスマ性を持つ一方で、奇行や不良行為を繰り返していました。哲学者の家系だと自称したり、自動車泥棒をしたり、同性愛者を誘惑して侮辱したりするなどの問題行動を繰り返していました。革命のためのテロ行為には強い興味を示しましたが、革命の理想には関心が薄かったと言われています。また、女性蔑視の強い人物であり、グドルンやウルリケを含む女性メンバーたちを女性器の蔑称で呼んだり、脱獄計画の際に、主導権を握った女性メンバーを褒めず、抵抗した看守を射殺した男性メンバーだけを褒めるなど、その傾向は顕著でした。

関連事項

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アンドレアス・バーダーは、その短い生涯で西ドイツ社会に大きな傷跡を残しました。彼の行動は、テロリズムの恐ろしさと、その背後にある複雑な社会構造を私たちに問いかけています。

外部リンク

Breaking Comrade Baader Out

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