アンドレア・レオナルディ

アンドレア・レオナルディ：ユーロビート界の巨匠 Bratt Sinclaire

アンドレア・レオナルディ（Andrea Leonardi）は、1967年4月26日にイタリアのミラノで生まれた作詞家、作曲家、音楽プロデューサー、そしてミュージシャンです。彼はBratt Sinclaire（ブラット・シンクレア）という名義でも知られ、ユーロビート界で多大な影響力を持つ人物です。

生い立ちと音楽への目覚め

高校教師の両親のもとで育ったレオナルディは、音楽好きの両親の影響で、幼い頃からエルヴィス・プレスリーやAC/DC|AC_DCなどの音楽に親しんでいました。特にAC/DC|AC_DCのアンガス・ヤングに触発され、ギターに興味を持つようになり、ヘヴィメタルを中心に音楽活動を始めました。この経験から、彼はロック音楽に対する深い知識を持つようになり、それが彼のユーロビート作品にも反映されています。ユーロビートの楽曲名には、有名なロックの曲名からの引用が数多く見られます。

アルベルト・コンティーニとの出会い

1984年、AC/DC|AC_DCのファンミーティングで、スラッシュメタルバンドBulldozerのリーダーであるアルベルト・コンティーニと出会います。この出会いがきっかけとなり、レオナルディはBulldozerのライブスタッフとして活動し、彼らのライブアルバムやEPの制作にも携わりました。A. BEAT-Cを離れた後も、コンティーニとの交流は続き、2009年には本名名義でBulldozerの5thアルバム「Unexpected Fate」をプロデュースしています。

ユーロビートの世界へ

1990年、コンティーニの誘いを受け、コンティーニとデイブ・ロジャースが設立したユーロビートレーベル「A-BEAT C」から「OH OH OH GIRLS ARE DANCING / THE BIG BROTHER」をリリース。これを機に、ユーロビートのコンポーザーとしての活動を本格的にスタートさせます。エイベックスのコンピレーションシリーズ『SUPER EUROBEAT』とその派生シリーズに、数多くの楽曲を提供し、ユーロビートシーンを牽引しました。この頃、松浦勝人から英語風の名前を名乗ることを勧められ、Bratt Sinclaireという芸名を使用し始めます。この芸名は、ロジャー・ムーアが演じた「ブレット・シンクレア卿」に由来します。

Rodgers, Contini & Sinclaire

1992年には、ロジャースやコンティーニと共にユニット「RODGERS, CONTINI & SINCLAIRE」を結成。同レーベルのメインソングライター兼プロデューサーとして、数多くの楽曲を制作しました。しかし、あくまでもコラボレーターとしての参加にとどまりました。

独立と新たな挑戦

1994年頃から、コラボレーターとしての活動に限界を感じ始めたレオナルディは、ロジャースらとは別に行動し、単独で楽曲制作・プロデュースを行うようになります。1995年には、ロジャースやコンティーニとの話し合いの末、ミラノに帰郷し、自身のスタジオ「MEVERICK STUDIO」を設立。ほぼ完全に単独での制作体制に移行しました。A-BEAT Cからは、「ANGEL IN LOVE / CASANOVA」を最後に離脱。

DELTA MUSIC INDUSTRY 時代

同年、TIME RECORDSで活躍していたローラン・ジェルメッティやクララ・モローニと合流し、新レーベル「DELTA」（現DELTA MUSIC INDUSTRY）の設立に参加します。SUPER EUROBEAT収録楽曲の第1弾としてリリースされた「MONEY GO! / MARKO POLO」は、SUPER EUROBEATのリクエスト・カウントダウンで1位を獲得するほどの人気を博しました。また、ジェルメッティやモローニと共に「NEWFIELD-MORONI-SINCLAIRE」というユニット名義でも楽曲を発表しています。

Night of Fireの大ヒット

1998年には、自身が制作した「NIGHT OF FIRE / NIKO」が日本で大ヒットし、パラパラの定番曲として知られるようになりました。アニメ『頭文字D』で使用されたこともあり、近年でもSUPER EUROBEATのリクエスト・カウントダウンで上位にランクインするなど、根強い人気を誇っています。

ハイパーテクノへの挑戦

ユーロビート制作の傍ら、ハイパーテクノやイタロダンスの楽曲も積極的にリリースしていました。DELTA時代には、傘下のEASY BEATにて、Bulldozerのギタリストであるアンディ・パニガーダ、A-BEAT C時代にDr.DOPE名義でラップを担当していたファウスト・グウィオと共に、「TEMPO / THE PROPHET」や「CRAZY TRAIN / THE PROPHET」などのヒット作を数多く生み出しました。

SinclaireStyle設立

2006年、「THIS LOVE / LESLIE PARRISH」の制作を最後にDELTAを脱退。2007年には、自身が主宰する新レーベル『SinclaireStyle』を設立し、活動拠点をミラノからレッコに移しました。設立当初はハイパーテクノの制作に注力していましたが、2008年にSUPER EUROBEAT VOL.186で「LET'S GO WILD! / NIKO」をリリースしてからは、ユーロビートとハイパーテクノの両方で活動を展開しています。

現在

現在もSinclaireStyleを主宰し、精力的に音楽制作を続けています。過去に制作したユーロビート楽曲やハイパーテクノ楽曲をまとめたコンピレーションシリーズを各種音楽配信サービスでリリースするなど、その活動は多岐にわたります。

アンドレア・レオナルディは、ユーロビート界に多大な貢献をしただけでなく、常に新しい音楽の可能性を追求し続ける、革新的な音楽家です。

もう一度検索