アンドレイ・アレクサンドロヴィチ (ロシア公)

アンドレイ・アレクサンドロヴィチ：激動の時代を生きたロシアの皇族

アンドレイ・アレクサンドロヴィチ（1897年1月24日 - 1981年5月8日）は、ロシア皇帝ニコライ1世の曾孫にあたり、アレクサンドル3世の血を引く皇族です。ロシア革命後、彼はイギリスへと亡命し、波乱に満ちた生涯を送りました。

生涯

サンクトペテルブルクの冬宮殿で誕生したアンドレイは、幼少期を皇族として過ごしました。母親を通じてアレクサンドル3世の孫にあたるものの、父方の血統ではニコライ1世の曾孫にとどまるため、「大公」の称号は与えられず、「公」として扱われました。しかし、誕生時の祝砲は、祖母マリア・フョードロヴナ皇太后の意向により、大公と同等の21発が鳴らされました。

第一次世界大戦が勃発すると、アンドレイはロシア海軍に入隊し、父アレクサンドル・ミハイロヴィチ大公の指揮下で従軍しました。その後、皇帝ニコライ2世が司令官を務める近衛騎兵連隊の中尉に任じられました。革命前には、皇后アレクサンドラ・フョードロヴナとその娘たちがノヴゴロドの教会を訪問する際、皇族の中で唯一人付き添ったとされています。

ロシア革命が始まると、アンドレイは家族とともにクリミアに幽閉されました。1918年には、ボリシェヴィキによって処刑される予定でしたが、ブレスト＝リトフスク条約の発効により、クリミアに進駐したドイツ軍によって解放されました。1919年、イギリスの戦艦マールバラに乗船してロシアを脱出し、父とともにパリ講和会議に出席しました。

1949年、アンドレイはイギリスのケント州にあるプロヴェンダー・ハウスに移り住みました。この邸宅は、2番目の妻ナディーンの家族が所有するもので、かつてエドワード黒太子が狩猟用として使用していたことで知られています。アンドレイは正教系マルタ騎士団の一員であり、また、帝位継承において男系血統よりも長子相続を重視する人々からは、ニコライ2世に最も近い親族として、ロシア帝位の有力な継承者と見なされていました。アンドレイは1981年、フェーバーシャムの自邸で生涯を閉じました。

家族

アンドレイは生涯で2度の結婚を経験しました。最初の妻は、イタリア貴族の娘であるエリザベッタ・サッソ＝ルッフォ公爵夫人で、1918年に結婚しました。エリザベッタとの間には、以下の3人の子供がいます。

クセニア（1919年 - 2000年）
ミハイル（1920年 - 2008年）
アンドレイ（1923年 - 2021年）

エリザベッタが亡くなった後、アンドレイは1942年にイギリス人女性ナディーン・マクドゥーガルと再婚し、彼女との間に一人娘をもうけました。

オリガ（1950年 - ）

アンドレイ・アレクサンドロヴィチの生涯は、ロシア帝国の崩壊と亡命という激動の時代を象徴しています。皇族としての生い立ちから、革命後の苦難、そして新たな生活の基盤を築いたイギリスでの晩年まで、彼の人生は歴史の大きなうねりの中で翻弄されながらも、強く生きた一人の人間の物語として、今も語り継がれています。

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