アンドレイ・ウラソフ

アンドレイ・アンドレーエヴィッチ・ウラソフの生涯

アンドレイ・アンドレーエヴィッチ・ウラソフ（1900年9月14日 - 1946年8月1日）は、ソビエト連邦の軍人として知られ、特に独ソ戦中に対独協力者として知られる存在となった。彼はニジニ・ノヴゴロド近郊の農村で生まれ、仕立て屋の家に育った。若い頃、神学校に通っていたが、ロシア革命が勃発すると赤軍の一兵卒として戦地に赴き、ウクライナとクリミアで白軍と戦うこととなった。彼は狙撃兵第二連隊の指揮官としての地位を得たのち、ソビエト連邦共産党に入党した。

彼は1936年から1938年にかけて中国の国民党軍に軍事顧問として派遣され、その後第99狙撃兵師団の指揮官に就任した。ウラソフはその部隊を素晴らしい戦力に変えることに成功したが、1941年に独ソ戦が勃発すると、彼はソ連第37軍の司令官として任命され、キエフ要塞戦に従事する。続いてモスクワ防衛戦でも活躍し、レーニン勲章を受章するなど、その軍事的な才能を発揮した。

しかし、彼の運命が大きく変わるのは、1942年のことだった。ウラソフはヴォルホフ戦線の指揮を担当していたが、悪化する戦局の中、ついにはドイツ軍に捕虜として投降することを余儀なくされてしまった。彼は家族との連絡を通じて、スターリンに対する猜疑心を持たれていたことを知り、救援まで拒否する決断を下した。

投降後、ウラソフは特別収容所に移され、そこで仲間の兵士たちに呼びかけを行った。この活動が大きな反響を呼び、脱走者が続出した。彼はゲーレン大佐と協力し、新たなロシアの建設を目指して活動したが、ナチス・ドイツ上層部の偏見から、彼の政治活動は制限された。1944年にはハインリヒ・ヒムラーとの会談を経て、「ロシア解放軍」と「ロシア諸民族解放委員会」を結成し、連合国到着前にプラハ解放で重要な役割を果たす。

1945年にはアメリカ軍に投降し、亡命を希望したが、その後ソ連に引き渡され、逮捕される。彼はNKVDによる拷問を受け、秘密裁判で有罪判決を下された末、1946年に絞首刑にされることになった。ウラソフはソ連で最後に絞首刑となった政治犯として名を刻むこととなった。

私生活

ウラソフの私生活は結婚や家族においても波乱に富んでいた。彼は最初の妻、アンナ・ミハイロヴナとの間に一児をもうけたが、投降後、妻は逮捕され5年間の刑に処せられた。1941年に結婚した後妻のアグネッサ・パーヴロヴナは、夫の名誉回復を訴えていた。結婚生活の中で、ウラソフは婚外子も持っていた。

名誉回復の試み

ソ連崩壊後、彼の率いたロシア解放軍の兵士たちは名誉を回復することができたが、ウラソフ自身の名誉回復は実現しなかった。彼の反ソビエト行為に対する有罪判決は否定されても、彼の名は依然として厳しい査問にさらされた。アメリカのニューヨーク州ナニュエットには、ウラソフを記念した碑が建立されている。彼の生涯は、時代の波によって翻弄された一人の軍人として、多くの歴史的な教訓を提供している。

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