アンドレウス

アンドレウス（Ἀνδρεύς）

ギリシア神話において「アンドレウス」と呼ばれる人物は複数存在しますが、特に有名なのは以下の二人です。

オルコメノスの王

このアンドレウスは、テッサリアー地方を流れる河の神ペーネイオスの息子として伝えられています。彼はボイオーティア地方にある古都オルコメノスの最初の王であるとされています。

旅行家パウサニアースの著書『ギリシア記』によると、アンドレウスがオルコメノスの地における最初の定住者であり、その地域一帯は彼の名にちなんで「アンドレーイス」と呼ばれたと記されています。後にこの地にやって来た人物として、テッサリアー地方の人物であるアタマースが挙げられます。アンドレウスはアタマースに対し、ラピュスティオン山周辺、後の時代にはコローネイアやハリアルトスとして知られる一帯の土地を譲渡したと伝えられています。

家族としては、アンドレウスはアタマースの孫娘にあたるエウイッペーと結婚しました。エウイッペーは、アタマースとテミストーの間に生まれた息子レウコーンの娘です。アンドレウスとエウイッペーの間には、息子であるエテオクレースが生まれました。このエテオクレースもまた、後にオルコメノスの王位を継承した人物として知られています。

ただし、エテオクレースの父親については異説も存在します。人々の間では、エテオクレースの本当の父親は、ボイオーティア地方を流れるもう一つの主要な河の神であるケーピーソスであったという話が語り伝えられていたとされます。この説は広く信じられており、有名な詩人ヘーシオドスもまた、自身の詩作においてこの河神ケーピーソスをエテオクレースの父として記述したと伝えられています。

アンドロス島の王

もう一人のアンドレウスは、アイガイア海に位置するアンドロス島の王として知られています。彼は、クレタ島の伝説的な王ミーノスの弟であり、アイガイア海の島々や小アジアの沿岸地域の一部を支配したとされるラダマンテュスから、統治する土地としてアンドロス島を与えられました。

アンドロス島を与えられたこのアンドレウスは、島に都市を創建し、これを「アンドロス市」と名付けました。この都市は島の主要な中心地となり、後の時代まで存続しました。

古代ギリシアの聖地であるデルポイには、アンドロス市の人々が神殿に奉納したと伝えられる、この王アンドレウスの彫像があったと記録されています。

このように、「アンドレウス」という名は、ギリシア神話の異なる地域と時代の伝承に登場する、二人の重要な王の名前として受け継がれています。

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