アンブロシアーノ銀行

アンブロシアーノ銀行の歴史

アンブロシアーノ[銀行]は、1896年にミラノで設立されたイタリアの金融機関です。設立以来、バチカンの資金調達と管理を行う役割を果たし、「バチカンの主力行」として知られています。この銀行は、バンカ・ナツィオナーレ・デル・ラヴォーロ(BNL)の子会社として機能しており、カトリック教徒のための資金運用を行っていました。

ヨハネ・パウロ1世と改革

1978年に教皇に就任したヨハネ・パウロ1世は、バチカン銀行の改革を公言していましたが、その就任からわずか33日後に亡くなりました。彼の急死は、当時のバチカン銀行とアンブロシアーノ銀行の不正行為に関連しており、教皇の改革意図を阻むためにマフィアが関与していたのではないかという疑惑が浮上しました。特に、バチカン銀行総裁のポール・マルチンクス大司教は、フリーメイソンの組織「ロッジP2」との関係や、不明朗な資金の流れに関与していたことから、暗殺に関する噂が立つこととなりました。

破綻とその後の混乱

1982年、アンブロシアーノ銀行は約10〜15億ドルという巨額の不明金を抱えて破綻します。この時、当行の頭取であったロベルト・カルヴィは、逃亡先のロンドンで暗殺され、イタリアの政財界を巻き込む大スキャンダルに発展しました。さらに、この破綻に先立ってバチカン銀行とアンブロシアーノ銀行の関係を調査していたイタリア警察の捜査官が暗殺されるなど、不穏な事件が続発しました。

特に、カルヴィの暗殺事件はマフィアやロッジP2のメンバーによるものとされており、その真相は今なお解明されていません。加えて、銀行の歴代頭取の秘書も不審な形で亡くなっており、暗い影がこの銀行を覆っていました。

新たな組織とその後の復興

アンブロシアーノ銀行は1982年の破綻後、「新アンブロシアーノ銀行」として再設立されましたが、その後の資金調達と運用は他の金融機関に移行しました。1989年には、Banca Cattolica del Venetoとの合併により、アンブロジャーノ・ヴェネト銀行として新たなスタートを切りました。1998年には、CARIPLOと合併しインテーザ銀行へと変わります。

2004年には一部をHSBCに売却しつつ、別の銀行を傘下に収めるなど、再構築を進めました。最終的に2007年、インテーザ・サンパオロとして現在に至ります。

課題とその影響

最近では、バチカン銀行と取引していたクレーディト・アルティジャーノ銀行を通じたマネーロンダリングの疑惑が浮上し、さらなる調査が行われました。この一連の事件は、イタリアの司法体制における腐敗や、不透明な金融取引の背後にある組織との関係を浮き彫りにしています。

アンブロシアーノ銀行は、イタリアの歴史において重要な役割を果たした銀行であり、その影響は現在もなお色濃く残っています。

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