アンリ4世校

アンリ4世校：フランスを代表する名門校

パリ5区、カルチェ・ラタンに位置するアンリ4世校（リセ・アンリ・キャトル Lycée Henri-IV）は、フランスを代表する名門公立高校です。リセ・ルイ＝ル＝グランと並び、国内最高峰のリセとしてその名を馳せ、政界、文芸界、学術界など、多方面に傑出した人材を輩出していることで知られています。

歴史と伝統

アンリ4世校の起源は、506年に創設されたサント＝ジュヌヴィエーヴ修道院に遡ります。王室の庇護を受け栄えた修道院は、ソルボンヌ大学とも深く関わり、巨大な図書館を擁していました。フランス革命を経て、1796年にはフランス初の公立学校として生まれ変わり、その後、幾度かの改名を経て、1873年に現在の校名に落ち着きました。

校舎は、修道院時代の面影を色濃く残しています。19世紀にはヨーロッパで3番目に規模の大きかった図書館（後に近くのサント＝ジュヌヴィエーヴ図書館に移管）の建物は、現在も校舎の一部として利用されています。4つの通路と中央のキューポラ、18世紀の鏡板や舗道など、歴史的建造物としての価値も高く、その美しさは多くの来訪者を魅了します。かつて「驚異の部屋」と呼ばれたメダルの部屋（Salle des médailles）も必見です。バロック様式の豪華な装飾が施されたこの部屋は、18世紀の威容を今に伝えています。中世に遡る礼拝堂やクロヴィス塔も、アンリ4世校の歴史を物語る貴重な建造物です。

著名な卒業生と教員

アンリ4世校は、数々の著名人を輩出することで知られています。

政界・官界: エマニュエル・マクロン大統領、レオン・ブルム元首相、モーリス・シューマン元外務大臣など、フランスの歴史に名を刻む政治家が多数名を連ねています。

文芸・学術界: 哲学者ジャン＝ポール・サルトル、ミシェル・フーコー、ジル・ドゥルーズ、シモーヌ・ヴェイユ、作家アンドレ・ジッドなど、世界的に知られた思想家や作家が卒業生として名を連ねています。その他にも、経済学者、歴史家、芸術家など、多様な分野で活躍する卒業生が数多くいます。

教員陣もまた、著名な学者や思想家が多く在籍していました。ジョルジュ・ポンピドゥー元大統領や哲学者アンリ・ベルクソンなどもアンリ4世校で教鞭をとっていました。

校風と教育

アンリ4世校は、2500名を超える生徒が学ぶ大規模なリセです。コレージュからグランゼコール（高等師範学校など）進学準備クラスまで、幅広い教育課程を提供しています。校訓は「Domus Omnibus Una（皆の為の家）」であり、多様な才能を持つ生徒たちが共に学び、成長できる環境を提供することに力を入れています。

まとめ

歴史と伝統に裏打ちされた教育、そして世界的に著名な卒業生と教員。アンリ4世校は、単なる学校という枠を超え、フランスの文化と歴史を象徴する存在と言えるでしょう。その歴史的建造物と洗練された教育環境は、今後も多くの才能ある人材を育成し続けることでしょう。

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