アーチボルド・ウェーヴェル (初代ウェーヴェル伯爵)

初代ウェーヴェル伯爵 アーチボルド・パーシヴァル・ウェーヴェル

アーチボルド・パーシヴァル・ウェーヴェル初代ウェーヴェル伯爵（1883年5月5日 - 1950年5月24日）は、イギリスの陸軍元帥、政治家および貴族として名を馳せています。彼は第二次世界大戦中に数々の重要な職務を歴任し、その生涯の大半を軍人として過ごしましたが、最終的には政治の舞台での役割に移行しました。

生い立ちと初期の経歴

ウェーヴェルは、陸軍少将アーチボルド・グラハム・ウェーヴェルの長男として誕生しました。教育を受けたウィンチェスター・カレッジを卒業後、サンドハースト王立陸軍士官学校に進学。1901年にイギリス陸軍ブラックウォッチ連隊に入隊し、第二次ボーア戦争に従軍しました。彼は、戦争中に戦闘の厳しさを体験し、その後も第一次世界大戦に参加、負傷を受けながらも参謀としての道を歩みました。

1930年代には、第6歩兵旅団司令官と第2歩兵師団司令官を歴任し、特に1937年から1938年にかけてのイギリス委任統治領パレスチナでのアラブ人反乱の鎮圧では彼の軍事的能力が試されました。

第二次世界大戦と北アフリカ戦線

1939年、ウェーヴェルは中東駐留軍司令官に任命されました。彼はエジプトを拠点として北アフリカの戦局を担当しますが、彼の指揮下で数々の厳しい状況に直面しました。1940年、イタリア軍との戦闘が始まり、後にはドイツ軍のロンメルと対峙することになるのです。特にコンパス作戦においては、イタリア軍を圧倒し一時的な勝利を収めましたが、その後の戦局は悪化し、1941年にはチャーチルから反攻の命令を受けたものの失敗に終わり、解任される結果となります。

アジア戦線とインド総督への就任

ウェーヴェルは、その後1941年から1942年にかけてインド駐留軍の指揮を執り、ABDA司令部でも活動を行いますが、日本軍に対して劣勢が続き、大きな成果を上げることはできませんでした。1943年10月にはインド総督に任命されます。このポジションで彼は、当時の激しいインド独立運動に対処し、食糧不足対策として食糧配給制を導入しました。

ウェーヴェルは、インドにおける権力移譲の基盤を築いた人物ですが、彼の政策はしばしば批判の対象となりました。ガンジーやネルーとの関係は必ずしも良好ではなく、彼の態度は冷淡なものであったと伝えられています。しかし、戦後は独立運動への譲歩を示し、1947年には権限を後任のマウントバッテン卿に託しました。

最後の年と遺産

1947年5月、ウェーヴェルは伯爵に叙せられ、その後ロンドン塔管理長官としても勤務しました。1950年に逝去し、その遺族は特別な墓所を選ぶことを拒否し、彼を母校に埋葬することを選びました。

ウェーヴェルの生涯は、数々の軍事的成功と挫折を通じて、歴史の流れに大きな影響を与えました。彼は戦争の非常な状況下で指導力を発揮しつつ、政治の複雑さにも深くかかわっていったのです。彼の功績や失敗は、今なお研究され続け、イギリスの歴史を知る上で欠かせない存在となっています。

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