アーネスト・ローソン

アーネスト・ローソン（1873年3月22日 - 1939年12月18日）は、カナダのノバスコシア州ハリファックスで生まれ、主にアメリカで活動した画家です。印象派の影響を受けた風景画で広く知られており、「アシュカン派」と呼ばれる画家たちと交流がありました。

生い立ちと初期の活動

1888年にアメリカのカンザスシティに移住し、1891年にはニューヨークへ。アート・スチューデンツ・リーグでジョン・ヘンリー・トワックトマンやジュリアン・オールデン・ウィアーに師事し、絵画の基礎を築きました。1892年の夏には、コネチカット州のグリニッジで「コスコブ芸術コロニー」に参加し、画家たちと共同で制作を行いました。

パリでの修行時代

1893年、ローソンはパリに留学し、アカデミー・ジュリアンでバンジャマン＝コンスタンやジャン＝ポール・ローランスに学びました。また、「外光派」の影響を受け、多くの画家が集まるセーヌ＝エ＝マルヌ県のモレ＝シュル＝ロワンに滞在。アルフレッド・シスレーから指導を受け、風景画の腕を磨きました。1894年には、サロン・ド・パリに作品を出展しています。

サマセット・モームとの交流

パリ滞在中、ローソンは作家のサマセット・モームと親交を深めました。モームの1915年の小説『人間の絆』に登場する画学生フレデリック・ローソンのモデルは、アーネスト・ローソンが元になっていると言われています。

アメリカでの活動と「The Eight」

1896年にアメリカへ帰国後、ローソンは各地で風景画を制作しました。特に橋のある風景を好み、写実主義と印象派を折衷した独自のスタイルを確立しました。1908年には、友人のウィリアム・グラッケンズに誘われ、グループ展「The Eight」に出展。「The Eight」のメンバーは後に「アシュカン派」の中心となりますが、ローソンは画風や題材において、他のメンバーとは一線を画していました。1913年には、アメリカ初の国際美術展であるアーモリーショーにも参加しています。

晩年

1910年代から1920年代にかけて、ローソンの作品は多くのコレクターに購入されましたが、その後人気は衰え、晩年はフロリダでパトロンの支援を受けて過ごしました。1939年にマイアミで生涯を閉じました。

作品の特徴

ローソンの作品は、印象派の影響を受けつつも、写実的な描写を重視している点が特徴です。橋や川、都市の風景などを、独特の色彩と筆致で描き出しました。彼の作品は、アメリカの風景画の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

参考文献
Henry and Sidney Berry-Hill: Ernest Lawson: American Impressionist 1873-1939. Leigh-on-Sea, 1968.
Adeline Lee Karpiscak: Ernest Lawson, 1873-1939, a retrospective exhibition. University of Arizona Museum of Art, 1979

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