アービン・マクドウェル

アービン・マクドウェル：南北戦争初期の悲劇の将軍

アービン・マクドウェル（Irvin McDowell, 1818年 10月15日 - 1885年 5月10日）は、アメリカ合衆国陸軍の職業軍人であり、南北戦争において重要な役割を果たしました。彼は、第一次ブルランの戦いでの北軍の敗北によって最もよく知られています。

生い立ちと初期の経歴

マクドウェルはオハイオ州コロンバスで生まれ、フランスのトロワ大学で学んだ後、1838年にウェストポイントの陸軍士官学校を卒業しました。彼の同級生には、後に第一次ブルランの戦いで敵対するP・G・T・ボーリガードがいました。マクドウェルは卒業後、第1アメリカ砲兵連隊に配属され、少尉に任官しました。ウェストポイントでは戦術の教官を務め、米墨戦争ではジョン・E・ウール将軍の副官として従軍しました。ブエナ・ビスタの戦いでの活躍により名誉大尉に昇進し、戦後は総務局長の下で勤務しました。1856年には、総務局の少佐に昇進しています。

南北戦争での活躍と挫折

1861年 5月14日、マクドウェルは正規軍の准将に昇進し、北東バージニア軍の指揮官に任命されました。これは彼にとって、戦闘での指揮経験が全くない中での大抜擢でした。この昇進には、彼の支援者であり、当時のアメリカ合衆国財務長官であったサーモン・P・チェイスの影響力が大きかったとされています。マクドウェル自身は、部隊の経験不足や戦いの準備不足を認識していましたが、ワシントンD.C.の政治家たちからの強い圧力により、バージニア州北部で南軍に対する時期尚早の攻撃を余儀なくされました。この結果、第一次ブルランの戦いにおいて、彼の戦略は複雑で野心的ではあったものの、部隊の経験不足から総崩れとなり、北軍は大敗を喫しました。

ブルランでの敗北後、ジョージ・マクレラン少将がポトマック軍の指揮官に任命され、ワシントンD.C.の防衛を担当しました。マクドウェルは新設された軍隊の1個師団を率いることになりましたが、マクレランは間もなく軍隊の指揮系統を再編し、翌春にはマクドウェルに第1軍団の指揮を任せました。マクドウェルの軍団はワシントンD.C.を守るために後方に配置され、マクレランが半島方面作戦を指揮する際にはその支援を行うことが期待されました。しかし、ストーンウォール・ジャクソン将軍率いる南軍のバレー方面作戦によってワシントンD.C.が攻撃される可能性を恐れた政治家たちは、マクドウェルの40,000名の部隊を後方に留め置くことを決定しました。

その後、マクドウェル、ジョン・C・フレモント、ナサニエル・バンクス各将軍が指揮する3つの独立した部隊は、ジョン・ポープ少将のバージニア軍に統合され、マクドウェルはその第3軍団を指揮しました。シーダー山の戦いでの功績により、彼は1865年に正規軍の名誉少将に昇進しましたが、続く第二次ブルランの戦いでの惨敗により非難の的となりました。マクドウェルは、ポープが命令不服従の疑いで軍法会議にかけたフィッツ・ジョン・ポーターに対する証言を行うことで、この責任を免れることができましたが、その後2年間は実質的に軍隊の指揮から外されることになりました。

その後の任務と晩年

1864年7月、マクドウェルは太平洋方面軍の指揮官に任命され、その後カリフォルニア方面軍、第4軍管区（レコンストラクション中のアーカンソー州とルイジアナ州の軍政府）、西部方面軍の指揮官を歴任しました。1872年には、正規軍の恒久少将に昇進しています。1879年、ラザフォード・ヘイズ大統領が始めた査問委員会が、フィッツ・ジョン・ポーターの恩赦を推薦する報告書を発表した際、第二次ブルランの戦いでの敗北の責任はマクドウェルに大きく帰せられることになりました。この報告書では、マクドウェルは決断力に欠け、適切な助言を怠り、能力不足であり、ポーターの情報要請に繰り返し答えず、ロングストリートの部隊配置についての情報をポープに伝えなかったと指摘されました。また、彼は軍法で義務付けられていた北軍左翼の指揮を執らなかったともされました。

マクドウェルは1882年にアメリカ陸軍を退役し、カリフォルニア州サンフランシスコで公園コミッショナーを務め、1885年に亡くなりました。彼はサンフランシスコ砦にある国立サンフランシスコ墓地に埋葬されています。

結論

アービン・マクドウェルは、南北戦争初期において重要な役割を担った人物であり、そのキャリアは輝かしい功績と悲劇的な失敗が入り混じったものでした。彼の経験は、戦争における指揮の重要性、政治的圧力の影響、そして軍の準備不足の危険性を物語っています。

アービン・マクドウェル