アームストロング・ホイットワース アーゴシー (初代)

アームストロング・ホイットワース アーゴシーは、1920年代にイギリスのアームストロング・ホイットワース社が開発した旅客機です。この機体は、同社にとって初の民間機であり、当時としては先進的な設計が取り入れられました。インペリアル・エアウェイズからの注文に応える形で開発が進められ、同社の航空路線網の拡大に貢献しました。

開発にあたっては、過去に同社が製造した軍用機の経験が活かされました。機体は、鋼管の骨格に布張りの外板を持つ複葉機で、堅牢かつ軽量な構造を実現しています。エンジンは、385馬力のアームストロング・シドリ ジャガーを3基搭載し、1基は機首に、残り2基は左右の翼間に配置されました。この3発エンジン構成は、当時の航空機としては一般的であり、高い信頼性と安定した飛行を可能にしました。

操縦席は中央エンジンの直後に開放式で設けられており、2名の乗員が横並びで搭乗しました。客室は胴体内に設けられ、当時としては多い20名までの乗客を収容することができました。これは、当時の旅客機の収容能力としては高い水準であり、大量輸送を可能にする設計でした。

1926年7月3日、ヘンドンで原型機が初飛行に成功しました。その後、2機の試作機が追加で飛行試験を行い、数度の試験飛行を経て、インペリアル・エアウェイズは3機すべてを定期便に投入しました。その性能が評価され、同社はさらに4機を追加発注し、1929年までに合計7機が納入されました。

アーゴシーは、インペリアル・エアウェイズの路線で活躍しましたが、残念ながら3機が墜落事故で失われました。しかし、残りの4機は大きな事故を起こすことなく運行を続け、1934年まで現役を全うしました。

性能

全長：19.66m
全幅：27.43m
全高：5.79m
全備重量：8150kg
エンジン：アームストロング・シドリ ジャガー 空冷14気筒複列星型 385hp × 3
巡航速度：145km/h
航続距離：650km
乗員：2名
乗客：20名

出典
航空機 両大戦の間 (監修 木村秀政)

アーゴシーは、その堅牢な構造と高い信頼性から、当時の航空輸送の発展に大きく貢献しました。また、初期の民間航空機開発における重要な機体の一つとして、その名を歴史に刻んでいます。

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