イェキネイェン・アンティ・テロル

イェキネイェン・アンティ・テロル（YAT）

イェキネイェン・アンティ・テロル（Yekîneyên Antî Telor）は、シリア民主軍に属する特殊部隊で、特にシリア内戦におけるラッカの戦いでその存在感を示しました。この部隊は、2014年に対テロ任務を目的として設立され、現在では特殊作戦を実行する重要な役割を果たしています。

設立背景

イェキネイェン・アンティ・テロルは、シリアのクルド人民兵部隊であるクルド人民防衛隊（YPG）とクルド女性防衛部隊（YPJ）から選抜された隊員によって構成されています。また、アメリカの第5特殊部隊群やデルタフォースとの関係が深く、設立当初は彼らから訓練や装備の支援を受けていました。このような背景から、イェキネイェン・アンティ・テロルは、高度な戦術を駆使できる部隊として知られるようになりました。

ラッカの戦いでの活動

特に注目されているのは、ISIL（イスラム国）が占領していたラッカに対する攻撃です。攻撃に先立ち、部隊はタブカ・ダムを占拠する作戦を実施しました。タブカ・ダムは、ISILにとって重要な戦略拠点であり、ダム損傷による壊滅的な影響が予測されていました。このため、ダムへの攻撃は意外性がありました。イェキネイェン・アンティ・テロルは、クルド人民防衛隊やアメリカ海兵隊の特殊部隊と協力し、ヘリボーン攻撃を行ってダムを掌握しました。

ダムを制圧した後、近隣のタブカ航空基地にも攻撃が行われ、戦略的な位置づけが確立されました。この成功は、ラッカの戦いにおける後続の攻撃を大いに助けることになりました。

装備と戦闘スタイル

イェキネイェン・アンティ・テロルの隊員は、AKシリーズやM4カービン、M249軽機関銃など、各種の火器を装備しています。通常は黒い戦闘服を着用していることが多いですが、タブカ・ダムの作戦では、友軍との誤射を避けるためにアメリカ海兵隊のMARPAT迷彩服に切り替えました。これにより、部隊はより高い戦闘効率を確保しました。

司令官の暗殺

イェキネイェン・アンティ・テロルの創設者であり初代司令官のアリ・ブータンは、2016年11月にトルコの治安部隊により、暗殺されるという悲劇的な出来事がありました。彼はカーミシュリーを移動中、即製爆弾によって狙われ、ボディガード2名と共に命を落としました。この事件は、部隊の士気に影響を与えたとされています。

結論

イェキネイェン・アンティ・テロルは、シリア内戦において重要な役割を果たし、特殊作戦の実施を通じて、その存在感と戦闘能力を証明しました。今後も地域における治安維持のために、彼らの活動が注目されることでしょう。

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