イェロギオフ・アヴェロフ (装甲巡洋艦)

イェロギオフ・アヴェロフ（Georgios Averof）

イェロギオフ・アヴェロフは、ギリシャ海軍の装甲巡洋艦で、第一次世界大戦前にイタリアから購入された艦です。イタリアのジュゼッペ・オルランドによって設計されたこの艦は、1911年の就役以来、ギリシャ海軍の中核として重要な役割を果たしてきました。艦名は、艦の購入代金の一部を寄付した大富豪ジョージ・アヴェロフに由来しています。ギリシャでは、艦の功績から「戦艦」と呼ばれることもあります。

デザインと装備

本艦は、イタリア海軍のピサ級巡洋艦を基にしたデザインで、平甲板型の船体を持ち、効果的な火力を装備しています。艦の主砲は、イギリス製のMark X 23.4 cm（47口径）砲を採用しており、これは様々な艦艇に装備されていました。この主砲は、最大15000メートル以上の射程を持ち、戦術的に優れた性能を発揮します。また、副砲には1908年型の19 cm（45口径）速射砲を装備し、敵艦艇への圧倒的な火力を提供しました。

本艦の防御装甲は、他国の艦に比べて厚く、特に上部構造は高い抵抗力を示しました。安全性は高く、敵の攻撃に耐えうる設計となっていました。船体の水線部には80mmから200mmの装甲が施されており、主砲塔も堅強な防御がなされています。

歴史的背景と艦歴

ギリシャ王国は1829年にオスマン帝国から独立した後、海軍力の強化に努めていましたが、建国当初からオスマン帝国の海軍力に脅かされ続けていました。そのため、ギリシャは最新型の艦艇を求めており、イタリアからの装甲巡洋艦に注目しました。アヴェロフの購入によりギリシャ海軍は強化され、オスマン帝国への対抗力が一層強まりました。

1912年にはバルカン戦争が勃発し、アヴェロフはギリシャ艦隊の旗艦として重要な戦闘を行いました。特に、エリの海戦ではオスマン艦隊に対して圧倒的な勝利を収め、ギリシャの海軍力を証明しました。これらの戦闘を経て、アヴェロフはギリシャ海軍の象徴となりました。

近代化と記念艦としての美しい未来

第一次世界大戦後、アヴェロフは近代化改装を受け、より強力な火器と防御力を備えました。その後も、ギリシャの軍事的な歴史の中で重要な役割を果たし続けました。最終的に、1956年から1983年にかけて記念艦として改装され、現在はピレウス港にて多くの訪問者に公開されています。

この艦はギリシャの海軍史や文化の一部として、今なお多くの人々に親しまれ続けています。アヴェロフは、単なる艦艇ではなく、ギリシャの誇りとアイデンティティを象徴する存在なのです。

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