イエール (ヴァール県)

イエール（Hyères）

概要

イエールは、フランスのプロヴァンス＝アルプ＝コート・ダジュール地域圏に位置するヴァール県のコミューンで、トゥーロンから東に16キロ離れています。また、イエール＝レ＝パルミエという名称は、約7000本のヤシの木が市内に植えられていることから由来すると言われています。1887年にステファン・リエジャールによって「コート・ダジュール」の名が生み出された地でもあります。

名の由来

イエールという名前は、古代ローマ時代の地名「アレアエ（Areae）」に由来し、近隣の塩田と関係があると考えられています。文献に登場したのは963年で、当時は「アイラス（Eyras）」や「エラス（Eras）」とも書かれました。また、1801年には「Hières」または「Hyères」と綴られ、プロヴァンス語では「イエラス（Ieras）」、ミストラル方言では「イエロ（Iero）」と呼ばれています。

地理

イエールにはイエール諸島と著名なジアン半島が含まれ、ジアン島と本土の間にある狭い海峡が土砂で埋まって半島の形となりました。この地域には、ポルクロール島、ポール＝クロ島、ルヴァン島が認められています。黄金の島（îles d'Or）という名前は、ルネサンス時代に灯台の光が海に映って金色に見えたことに由来します。

イエールの海岸線は39キロメートルにわたり、プロヴァンス地方では南端に位置し、最古の気象観測所も存在します。また、周辺には多くの珍しい植物が自生しており、2008年にはラムサール条約登録地として認定されました。

気候

イエールは地中海性気候に恵まれ、夏は乾燥し、冬は温暖で湿度があります。特に夏は気温が29度まで上がり、冬の最低気温は6度程度です。年間の日照時間は2899.3時間に達し、降水量は年間約665ミリメートルで、夏は雨があまり降らず、逆に10月には多くの雨が降ります。観光パンフレットには、年間300日以上の晴天があるとされており、観光地としても人気があります。

歴史

紀元前6世紀には、ギリシャ人がイエール周辺に商業基地を築いていました。後にローマ人が移住し、近隣にガレー船の基地を設立しました。イエールの名が文献に初めて記されたのは教皇の教書や憲章で、当時の漁業や塩田の存在が示されています。11世紀初頭からは城が構築され始め、イエールは繁栄を見せました。しかし、1347年には黒死病が襲い、人口の大幅な減少があり、様々な社会的影響を受けました。

経済

1980年代以降、イエールはフランスの南東部で重要な園芸産業の中心地とされ、特に生花市場が盛況で、様々な切り花も生産されています。また、イエールのワインは1977年に認可され、国内外で高い評価を受けています。

史跡

イエールには、テンプル騎士団が12世紀に建立したサン＝ブレーズ礼拝堂や、宗教戦争の歴史を物語るサン＝ポール教会など、歴史的な名所があります。

関係者

イエール出身の著名人には料理人のアラン・サンドランスや自転車競技選手のルシアン・エマール、レーシングドライバーのステファン・オルテリなどがいます。また、イエールには姉妹都市がいくつか存在し、国際的な交流が行われています。

このように、イエールは美しい自然、歴史文化、経済的な活動が盛んな地域で、多くの見どころがあります。この町を訪れることで、フランスの豊かな文化と風景を楽しむことができるでしょう。

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