イオンド大学

イオンド大学とは

イオンド大学（IOND University）は、かつてアメリカ合衆国ハワイ州ホノルル市に存在するとされた、非認定の大学組織です。自称「世界大学連盟加盟校」として活動していましたが、その実態は学位商法ではないかと批判されていました。

大学の変遷

1999年4月12日に開学し、当初は「International Organization for Non-traditional Distance Learning（IOND）」の略称を大学名としていました。その後、「ダイアモンド・ヘッド大学」、「ハワイ・イオンド大学」と名称を変更し、最終的には「イオンド大学」に戻しました。大学のウェブサイトには、「イオンド大学は合衆国文部省の認める認定機関の認定を受けていない」と明記されていました。

日本での活動

日本では、「株式会社イオンド大学」が設立されましたが、株式会社立大学ではありませんでした。しかし、「ハワイのIOND UNIVERSITYと業務提携契約を結んでいる」と主張していました。また、ポーランドのウッチ大学とも提携していると発表しましたが、ウッチ大学側はこれを否定し、提携を破棄しました。ウッチ大学は、イオンド大学に対し、大学名の削除と名誉学位の返還を要求しました。

教授陣

イオンド大学には、多くの人物が「教授」や「名誉教授」として在籍していました。主な人物として、矢追純一（未知現象研究学部）、清水馨八郎（筆頭教授）、中野幾雄（主任教授）、高橋斎（防衛学）、内田勲（放射線医学）、宮原勅治（医学・クラシック音楽）などがいました。また、横田哲治、羽柴誠三秀吉は「名誉教授」とされていました。しかし、これらの肩書きは一定の寄付金を支払うことで得られたとされています。イオンド大学の実態が報道されるにつれて、これらの人物の多くは過去の経歴を公開していないか、同姓同名の別人であると主張しています。

日本での拠点

日本での拠点は東京都杉並区高円寺にありましたが、キャンパスは存在しませんでした。ホームページには、「KD」（=Kagetsu Daiichi）と表記されていました。「管理本部」は日比谷セントラルビル内のレンタルオフィスに置かれていました。かつては東京都中野区のビルに入居しており、多くの人物に名誉博士号を授与していました。

株式会社イオンド大学の変遷

登記簿上、「株式会社イオンド大学日本校」と「株式会社IOND University」の2つが存在しましたが、「株式会社イオンド大学日本校」は後に「株式会社三浦海洋研究所」に社名変更し、破産しました。現在は「株式会社IOND University」のみが存在しています。

メディア報道

朝日新聞は、2008年1月6日朝刊にてイオンド大学を「学位商法」の一例として紹介しました。イオンド大学側はこれを「捏造記事」と反論していました。

ハワイ州からの訴訟

2007年9月、ハワイ州消費者保護局はイオンド大学に対し、法的存在が無効であること、州消費者保護法に違反していることの確認を求める民事訴訟を提起しました。2008年 10月17日、ハワイ州巡回裁判所はイオンド大学に対し、虚偽登録、ウェブサイトの虚偽表示、カタログの虚偽表示について州法違反を認定しました。しかし、ハワイ州内での教育や学位授与の実態がなかったため、非認定学位授与機関に適用される州法は適用されませんでした。結果として、イオンド大学には罰金2万ドル、代理人登録した役員には罰金2500ドルが科せられました。さらに、ハワイ州内での一切の活動を停止するよう命じられました。

2009年 3月2日、最終判決でイオンド大学は敗訴し、ハワイでの営業活動も停止させられました。イオンド大学は控訴しましたが、その後棄却されました。2009年 12月1日、ハワイ州政府はイオンド大学ハワイを行政処分により強制解散させ、これによりイオンド大学はアメリカ合衆国内で拠点を作ることは不可能になりました。

その後

2010年7月1日、政治団体IONDUniversityが設立されました。2021年現在、ホームページには「学長オルテガI.中野」「理事長髙橋斎」と表示されています。

まとめ

イオンド大学は、非認定大学として運営され、多くの疑惑や訴訟を経て解散に至りました。その活動は、学位商法の一例として批判され、多くの関係者に影響を与えました。現在では、政治団体として名前を残すのみとなっています。

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