清水馨八郎

清水馨八郎（しみず けいはちろう）は、1919年（大正8年）に生まれ、2015年（平成27年）に亡くなった日本の地理学者であり、晩年は評論家としても活動しました。専門は都市地理学や交通地理学といった分野で、その功績は学術界で認められ、理学博士の学位を持ち、千葉大学名誉教授の称号を得ています。

経歴

山梨県に生まれた清水氏は、旧制東京文理科大学（現在の筑波大学の前身）理学部地学科で学びました。卒業後、海軍兵学校の教官を経て、千葉大学教育学部の教授を務め、同学の名誉教授となりました。また、国際武道大学やイオンド大学でも教授を歴任しています。学術的な功績に加え、勲三等旭日中綬章を受章し、日本の発展に貢献したことが評価されました。社会活動としては、「日本を守る国民会議」の発起人の一人でもありました。

地理学者としての貢献

清水氏は、日本の交通地理学の体系化に重要な役割を果たした研究者の一人です。特に、都市における交通現象に着目し、それを通じて大都市の構造を分析する研究を行いました。都市が抱える問題や交通に関する課題に対し、その原因を探り、具体的な解決策や対策方法を提言するなど、学術研究にとどまらず、積極的に政策提言を行った稀有な交通地理学者として知られています。

思想と評論活動

地理学者としての活動に加え、清水氏は晩年、自由主義史観に基づく評論家、論客としても発言しました。その思想的立場から、特定の政治家に関する論評を行ったこともあります。例えば、政治団体「國民新聞社」の機関紙『國民新聞』に掲載された記事では、小沢一郎氏、土井たか子氏、福島瑞穂氏、菅直人氏らを「在日」であると主張しました。しかし、土井氏や福島氏の本名に関する清水氏の記述内容は、過去に雑誌『WiLL』が同様の記述によって土井氏から名誉毀損で提訴され、敗訴が確定した際の記述と類似していると指摘されています。これは、特定の主張の根拠の適切性について議論があることを示しています。また、清水氏は人工妊娠中絶に対して反対の立場を取り、中絶の違法化を訴える文章を特定のNPO法人に寄稿しています。

統一教会関連団体との関わり

清水氏の活動において特筆すべき点の一つは、世界平和統一家庭連合（旧統一教会）の関連団体との関わりです。清水氏は、国際勝共連合の新宿支部長を務めたほか、日韓トンネル研究会、世界平和教授アカデミー、勝共教授団、教科書正常化国民会議、日韓文化研究会といった複数の関連団体において、常任理事やメンバー、発起人などの立場で関与していました。これらの団体の機関紙にも複数回にわたり寄稿しており、例えば「世界平和教授アカデミー」の機関紙には創刊号から寄稿しています。

特に、1987年に出版された『文鮮明・思想と統一運動』に寄せた記事「文師の思想と勝共運動」の中で、清水氏は自身の統一運動への参加経緯に触れつつ、その教義である統一原理を高く評価しました。そして、教祖である文鮮明氏について、「イエス・キリストすら越える人物、いや聖人と思っております」「神との情報のチャンネルを幾つも持っておられるに違いない」といった強い表現で称賛する見解を示しています。これらの記述は、清水氏と統一教会およびその関連団体との関係の深さを示すものと言えます。

主な著書

清水氏の著書は多岐にわたり、地理学の専門書から都市問題、交通、日本の風土や文化、歴史観、思想に関する啓蒙書まで幅広い分野に及びます。『爆発する都市』『日本列島の未来』といった初期の著作や、晩年に執筆された『侵略の世界史』『日本人が忘れてしまった「日本文明」の真価』『大東亜戦争の正体』など、その時々の社会問題や歴史観に鋭く切り込んだ著作が多くあります。

このように、清水馨八郎は、地理学者として都市・交通問題に貢献しただけでなく、晩年は独自の歴史観や思想に基づいた評論活動を行い、特定の団体との関わりを持つなど、多様な側面を持つ人物でした。

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