佐々木正利

佐々木正利（ささき まさとし）は、日本を代表するテノール歌手、そして指揮者です。現在は岩手大学教育学部の教授として教鞭を執る傍ら、同大学教育学部附属小学校の校長も務めています。二期会会員、グルッペ・ベッヒライン会員、日本声楽発声学会理事、日本発声指導者協会理事、日本音楽表現学会副会長、仙台バッハ・アカデミー理事といった要職を歴任。盛岡バッハ・カンタータ・フェライン、仙台宗教音楽合唱団、岡山バッハ・カンタータ協会の指揮者、岩手大学合唱団、東北大学混声合唱団の常任指揮者、オーケストラ・アンサンブル金沢合唱団、東京21合唱団の指揮者、そして山響アマデウスコアの音楽監督も務めています。

東京芸術大学声楽科を卒業、同大学院修士課程および博士後期課程を修了。声楽を須賀靖元、音楽学を服部幸三、演奏法を小林道夫、発声法を森明彦、作曲を松本民之助、宗教音楽を岳藤豪希に師事しました。

1973年、バッハの「クリスマス・オラトリオ」福音史家としてデビュー以来、バッハをはじめとする宗教音楽の専門家としてその名を知られています。1979年にはシュトゥットガルトに渡り、L・フィッシャーに師事。1980年、第6回ライプツィヒヨハン・ゼバスティアン・バッハ国際コンクール声楽部門で第5位入賞を果たしました。同年より1982年までデトモルト北西ドイツ音楽大学でH・クレッチマールに師事。在独中は欧州各国の演奏会に招かれ、特に1980年のウィーン楽友協会ホールでの「マタイ受難曲」では、『若き日のペーター・シュライアー』と各紙で絶賛されました。

帰国後もライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団、ベルリン交響楽団、国立ブカレスト交響楽団、NHK交響楽団など、国内外の著名なオーケストラのソリストとして度々起用され、クルト・マズア、ホルスト・シュタイン、ヘルベルト・ブロムシュテット、小澤征爾といった世界的指揮者と共演。また、ヘルムート・リリング、ハンス・ヨアヒム・ロッチュ、ミシェル・コルボ、ルネ・ヤーコプスらが率いる、シュトゥットガルト・バッハ合奏団、ゲヒンゲン聖歌隊、トーマス教会少年合唱団、RIAS室内合唱団などの演奏会にも度々出演。特にヘルムート・ヴィンシャーマン率いるドイツ・バッハ・ゾリステンとは数多くの共演を重ねています。

1985年にはザルツブルク音楽祭に招待され、R. バーダー指揮のモーツァルテウム管弦楽団、ベルリン聖ヘドヴィヒ聖歌隊とバッハの「マニフィカト」、モーツァルトの「戴冠式ミサ」を共演。在独中はヴェストファーレン州立歌劇場で「コシ・ファン・トゥッテ」のフェランド、「フィデリオ」のヤッキーノ、「グリゼルダ」のコッラード役を演じました。

現在までに21回のリサイタルを開催し、多数のレコード・CDをリリース。テレビ・FMなどメディアにも度々出演しています。

1970年、東京芸術大学のバッハ・カンタータ・クラブの創設に携わり、多くの後進を育てると共に指揮者としての活動を開始。以後約30年にわたって主に宗教曲の演奏活動に尽力。特に盛岡バッハ・カンタータ・フェライン、仙台宗教音楽合唱団、岡山バッハ・カンタータ協会などを率いての8度にわたるドイツを中心とした欧州公演では『シュッツ、バッハの世界的担い手』と評され、1993年のヘルムート・ヴィンシャーマンとの「マタイ受難曲」では、『マタイ演奏史上、最も特筆されるべき演奏の一つ』、1995年のJ. ツィルヒとの「天地創造」では『音楽と言葉の見事なまでの融合』と評されました。1987、88年には、ヘルムート・リリング音楽監督のバッハ・アカデミーにてテノール・マスタークラスの講師を務め、コダーイ・サマースクールや古楽サマースクールなどでも指導講師として活躍しています。

1994年には、長年にわたる顕著な演奏、教育の業績に対し、第47回岩手日報文化賞（学芸部門）が贈られました。

もう一度検索