イオー・ジマ (LPH-2)

イオー・ジマ (USS Iwo Jima, LPH-2)

イオー・ジマは、アメリカ海軍が運用した強襲揚陸艦であり、イオー・ジマ級の1番艦として建造されました。艦名は、太平洋戦争中の激戦地であった硫黄島の戦いに由来します。この艦は、ヘリコプターと海兵隊員を搭載し、揚陸作戦を行うことを目的として設計された最初の艦であり、その後の強襲揚陸艦の基礎となりました。

設計と運用

イオー・ジマは、ヘリコプターを運用し、海兵隊員を上陸させる「立体包囲攻撃」の概念に基づいて運用されました。これにより、従来の揚陸作戦に比べて迅速かつ柔軟な展開が可能となり、上陸作戦の効率を大幅に向上させました。

艦歴

1959年4月2日にワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所で起工され、1960年9月17日に進水、1961年8月26日に就役しました。

就役後、イオー・ジマはカリフォルニア州沿岸での揚陸演習に従事し、1962年4月にはジョンストン島での核実験に伴う島民の退避作戦に参加しました。その後、カリフォルニアでの大規模揚陸演習を経て、1962年10月には最初の西太平洋配備に出発しましたが、キューバ危機の勃発によりサンディエゴに帰還、海兵隊を乗艦させカリブ海へ派遣されました。

1963年には西太平洋に展開し、第7艦隊に合流。ハワイからフィリピン、台湾にかけての海域で活動しました。同年10月には南ベトナム沿岸での特別任務に従事し、アメリカ国民の保護を行いました。その後、沖縄や台湾での上陸演習に参加し、1964年4月にサンディエゴに帰還しました。

ベトナム戦争での活躍

1965年、イオー・ジマはベトナム戦争に投入されました。陸軍のヘリコプターや物資、兵員を搭載し、ベトナム各地での作戦を支援しました。特に、チューライでの上陸作戦では、海岸への飛行場建設を支援するなど、重要な役割を果たしました。

アポロ13号の回収

1970年4月には、アポロ13号の宇宙飛行士の回収任務に旗艦として参加しました。映画『アポロ13』では姉妹艦のニューオーリンズがこの役を演じましたが、当時のイオー・ジマの艦長は映画にカメオ出演しています。

事故と退役

1990年10月、ペルシャ湾での活動中に艦の蒸気システムに問題が発生しました。修理のためにバーレーンのマナーマでドック入りした際、蒸気バルブのオーバーホール中に事故が発生し、ボイラー室にいた10名の機関兵が死亡するという痛ましい事故が起こりました。

イオー・ジマは、1993年7月14日に退役し、1995年12月18日にスクラップとして売却されました。しかし、艦橋部分はテキサス州のアメリカンGIミュージアムで展示され、その歴史を今に伝えています。

外部リンク

Flagship: Joint Task Force 130 citations
Annotated Apollo 13 Explorer Photos - Flickr.com
Johnson Space Center Features
history.navy.mil: USS Iwo Jima
navsource.org: USS Iwo Jima
USS Iwo Jima Association

この記事は、アメリカ合衆国政府の著作物である「Dictionary of American Naval Fighting Ships」に由来する文章を含んでいます。

もう一度検索