イカルス (小惑星)

イカルス（1566 Icarus）は、地球近傍小惑星の一つであり、アポロ群に分類される小惑星です。1949年にドイツ出身の天文学者ウォルター・バーデによって、パロマー天文台で発見されました。その名前は、ギリシャ神話に登場するイカロスに由来しています。イカロスは、父ダイダロスと共に鳥の羽を蝋で固めた翼を作り空を飛びましたが、太陽に近づきすぎたために蝋が溶け、墜落死したという物語にちなんでいます。

イカルスの最も顕著な特徴は、その特異な軌道です。近日点では水星よりも太陽に近づき、遠日点では火星軌道の外側にまで達する、非常に細長い楕円軌道を描きます。この軌道のため、イカルスは時折、地球に接近することがあります。イカルスは、おおよそ9年、19年、または28年の間隔で6月に地球の近くを通過します。

過去の接近例としては、2015年6月16日に地球から約0.05383天文単位（約805万3000km）の距離を通過しました。さらに以前には、1996年6月11日にも接近しており、その際は地球から約0.10119天文単位（約1513万8000km）の距離でした。次回の接近は2043年6月13日と予測されており、地球から約0.0586天文単位（約877万km）の距離まで近づくとされています。また、過去には1968年6月14日に約0.042482天文単位（約635万5200km）まで地球に接近したこともあります。

このように、イカルスは地球に比較的接近する可能性のある小惑星として、天文学的な観測対象となっています。その軌道は、宇宙空間における天体の運動を理解する上で重要な情報を提供しています。ギリシャ神話のイカロス同様、太陽に近づきすぎる危険性と、その影響を理解するための良い例とも言えるでしょう。



補足
アポロ群: 地球軌道と交差する軌道を持つ小惑星のグループ。
近日点: 天体が軌道上で最も太陽に近づく点。
遠日点: 天体が軌道上で最も太陽から遠ざかる点。
[天文単位]: 天文単位とは、太陽から地球までの平均距離を1とする単位。約1億4960万キロメートルに相当します。

関連情報

小惑星の一覧 (1001-2000)
潜在的に危険な小惑星

外部リンク
* イカルスの軌道要素（JPL、英語）

もう一度検索