ウォルター・バーデ

ウォルター・バーデの生涯と業績

ウォルター・バーデ（Wilhelm Heinrich Walter Baade, 1893年3[[月24日]] - 1960年6[[月25日]]）は、ドイツの天文学者であり、後にアメリカに移住し活躍しました。一般には英語読みのウォルター・バーデとして知られています。彼は観測天文学における重要な発見、特に「星の種族」の概念を提唱したことで広く知られています。

生い立ちと初期の研究

バーデはドイツ中西部のシュレッティングハウゼン（現在のビーレフェルト）で生まれました。ゲッティンゲン大学で学位を取得後、数学者フェリックス・クラインの助手を務めた時期もありました。その後、ハンブルク天文台に勤務し、彗星、小惑星、星団、変光星、銀河などの観測に従事しました。この時期に、正確な観測に基づいた多数の論文を執筆し、その業績が認められロックフェラー財団から奨学金を獲得、1926年から2年間、アメリカのウィルソン山天文台で研究を行いました。

アメリカでの活動

ウィルソン山天文台での研究が高く評価されたバーデは、1931年に同天文台の常勤研究員となり、アメリカへ移住しました。彼は、天体観測の基準となる標準星の等級を較正する研究に取り組みました。当時の写真測光観測の精度が不十分だったため、エドウィン・ハッブルとともに光電測光観測を導入し、観測データの精度向上に貢献しました。

1930年代から1940年代にかけて、バーデは銀河や球状星団の観測を精力的に行いました。この時期には、フリッツ・ツビッキーと共に、超新星爆発によって中性子星が生成されるという理論を初めて提唱しました。

第二次世界大戦中、バーデは敵国人として扱われ、天文台のあるパサデナから外出を制限されましたが、天文台での観測は特別に許可されました。この時期、他の研究者が戦争に動員されたため、結果的にバーデが望遠鏡を使える時間が増えました。さらに、灯火管制によってロサンゼルスの市街光が減少し、観測環境が理想的になったという幸運もありました。1944年、バーデはウィルソン山の100インチ望遠鏡を用いて、アンドロメダ[[銀河]]（M31）とその伴銀河の中心部を個々の星に分解することに初めて成功し、恒星に二つの異なる種族が存在するという重要な発見をしました。これは、天文学における理解を大きく進展させる成果となりました。

1948年には、当時世界最大の200インチヘール望遠鏡がパロマー山天文台に建設され、バーデはこの望遠鏡を使ってM31のセファイド変光星の研究を開始しました。彼は500個以上のセファイド変光星を発見し、共同研究者のヘンリエッタ・スウォープがこれらの星の変光周期と光度曲線を決定しました。

1950年代半ばには、電波天文学という新しい分野にも取り組みました。バーデは電波源の系統的なサーベイ観測を行い、多くの電波源の光学的な対応天体を同定しました。これには、はくちょう座A、カシオペヤ座A、おとめ座A、ケンタウルス座Aなどが含まれます。

1959年、バーデはドイツに戻り、翌年1960年にゲッティンゲンで亡くなりました。

小惑星の発見

バーデは生涯で10個の[小惑星]]を発見しました。これには、軌道周期が長いことで知られる(944)イダルゴ、アポロ群の小惑星]イカルス、[アモール群の小惑星]ガニメドなどが含まれており、これらの特異な[[小惑星の研究にも貢献しました。

受賞と栄誉

バーデの業績は高く評価され、数々の賞を受賞しました。イギリス[王立天文学会ゴールドメダル]]（1954年）、ブルース・メダル（1955年）、アメリカ天文学会ヘンリー・ノリス・ラッセル講師職（1958年）などがその例です。また、小惑星]バーデ、[[月のクレーターであるバーデクレーター、月の渓谷であるバーデ渓谷など、彼の名にちなんだ天体や地名も存在します。さらに、マゼラン望遠鏡の一部分や、いて座の銀河系中心近くにある星間塵の少ない領域である「バーデの窓」にも彼の名前が使われています。

ウォルター・バーデは、観測天文学における多大な貢献により、天文学の歴史に名を残す偉大な科学者の一人として記憶されています。

もう一度検索