イギリス海軍のC4Iシステム

イギリス海軍のC4Iシステムについて

本記事では、イギリス海軍が使用しているC4Iシステムの詳細について探求します。このシステムは、指揮、制御、通信、コンピュータ、情報の要素を統合したものであり、さまざまな運用シナリオに対応できるよう設計されています。

1. 作戦級システム

イギリス海軍の作戦級システムには、RNCSS （Royal Navy Command Support System）があります。これは、アメリカ海軍のGCCS-Mと類似した機能を持ち、2002年から艦隊に配備が始まりました。バージョン6では両用戦指揮機能が組み込まれ、さらにバージョン7ではADatP-3メッセージの送受信が可能になりました。CSS端末は、ほとんどが20インチのディスプレイを一面装備しており、アルビオン級揚陸艦には72基のワークステーションが設置されています。航空母艦には20基から26基の端末が搭載され、42型駆逐艦や22型、23型フリゲートにも各々複数の端末が装備されています。

加えて、イギリス軍はSHF帯およびUHF帯のスカイネット衛星通信システムを主力の通信回線として運用し、これにより高い情報伝達能力を確保しています。

2. 戦術級システム

戦術級C4Iシステムの開発において、イギリスはカナダとともに先駆者的な役割を果たしました。初めてのレーダー情報処理システムであるCDS（Comprehensive Display System）は、1957年に航空母艦「ハーミーズ」および「イーグル」に搭載され、96の目標を同時に処理できる能力を持っていました。

その後、半自動式だったCDSの限界を克服するために、ADA（Action Data Automation）が開発されました。これはアナログ式コンピュータであり、1959年から使用が始まりました。しかし、アナログ技術の制約から、1966年にはADAWS（Action Data Automation Weapon System）が登場しました。ADAWSシリーズは、武器管制機能を統合した点でアメリカのNTDSとは異なります。

1980年代には、空母「インヴィンシブル」と「イラストリアス」にADAWS-6が搭載され、最新のレーダーおよび電子戦装置を統括する能力が強化されました。さらに、42型駆逐艦やフリゲートにもそれぞれ異なるバージョンが搭載され、現代戦に対応できる戦術的な情報処理が可能になりました。

3. データ・リンク

イギリス海軍のデータ・リンクには、リンク 10（リンク X）が主に使用されており、これはNATO諸国の海軍とも互換性があります。しかし、リンク 11も搭載する42型駆逐艦が存在し、これにより英艦隊とNATO艦隊のデータ・リンク・ネットワークを連接することが可能です。昨今では、リンク 16の運用が広がり、多くの駆逐艦やフリゲートがその機能を備えています。

また、特殊用途の広域戦術データ・リンクとして、SHF-SATCOMを利用したSTDLも運用されており、データ通信の能力をさらに強化しています。ただし、アメリカ海軍のS-TADIL Jとは互換性がありません。

まとめ

イギリス海軍のC4Iシステムは、作戦級から戦術級まで多岐にわたり発展を遂げており、現代の海戦において重要な役割を果たしています。これにより、複雑な戦場での情報の収集と分析、戦略的な意思決定が飛躍的に向上しています。

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