イギリス領カメルーン

イギリス領カメルーン：歴史と帰属の物語

イギリス領カメルーンは、かつてイギリス帝国の統治下にあった地域であり、現在のカメルーン共和国とナイジェリア連邦共和国の一部を構成しています。その歴史は、19世紀に遡り、奴隷解放のための入植地建設から始まりました。

前史：入植地からドイツ領へ

1858年、イギリス人宣教師アルフレッド・セーカーが、解放された奴隷たちのための入植地を、現在のカメルーン南西部、アンバス湾に建設しました。この地域はその後、イギリスの保護領となります。

しかし、1884年のアフリカ分割により、現在のカメルーンの領域はドイツ帝国の保護領、ドイツ領カメルーンとなりました。1887年には、イギリス保護領であったアンバス湾とその周辺地域がドイツ帝国に割譲され、ドイツ領カメルーンの一部となりました。

第一次世界大戦と国際連盟の委任統治

1914年に第一次世界大戦が勃発すると、イギリス帝国、フランス、ベルギーは共同でドイツ領カメルーンを征服し、1916年にはドイツ軍を完全に排除しました。戦後、1922年に国際連盟はカメルーンをイギリスとフランスの委任統治領としました。

第二次世界大戦後の帰属問題

第二次世界大戦の頃には、イギリス領カメルーンには約40万人が暮らしていましたが、イギリス軍の義勇兵になったのは3500人にとどまりました。1960年1月1日、フランス領カメルーンが独立。同年10月1日にナイジェリアがイギリスから独立すると、イギリス領カメルーンの帰属が問題となりました。

1961年2月11日、住民投票が実施されました。イスラム教徒が多い北部地域はナイジェリアとの統合を望み、キリスト教徒が多い南部地域はカメルーンとの統合を支持しました。その結果、同年5月31日に北部地域はナイジェリアの北部州に統合され、同年10月1日に南部地域はカメルーンに統合され、南西州と北西州に分割されました。これにより、イギリスの信託統治領としての歴史に幕を閉じました。

カメルーン統合後の分離独立運動

カメルーンに帰属後、旧イギリス領カメルーン地域では分離独立の動きが活発化し、南カメルーン連邦共和国（アンバゾニア）としての独立も試みられました。2016年以降、英語圏のアンバゾニア地域における独立を巡る紛争が激化し、政府による逮捕や避難民の発生といった事態を招いています。

現在の状況

旧イギリス領カメルーン地域は、現在もカメルーン国内で独自の文化とアイデンティティを保持しており、分離独立運動は依然として続いています。この地域の将来は、カメルーン政府と地域住民との対話と協力によって左右されるでしょう。

関連事項

カメルーンの歴史
イギリス領カメルーンの切手と郵便の歴史

もう一度検索